009


『……触り方がきもい』

「いちいち言い方に棘があり過ぎやろ。俺かて傷付くんやぞ」

『わー、それは大変だー』

「感情込めろや!」

『本当にうるさいな…』

「うるさないわ!!」




名前は眉に皺を寄せて終盤の問題を解いていく。



「なぁ〜、苗字〜」

『なんだよ。うるせぇな』

「そんな事言わんといて〜、侑くん泣いてまうわ〜」

『勝手しろよ』

「………」

『………宮?』

「…っ、」

『え?…ま、まじで泣いてんのか?おい、』

「…スキありっ!」

『は、』




侑が俯いて肩を震わせたのを見て、名前は慌てて侑の顔を覗き込むと、ニヤリと笑った侑が名前の唇を奪った。


「…フッフ、奪ってもうた〜」

『………はァ゛?』

「えっ!怖っ!」




名前は額に青筋を浮かべ、侑を睨みあげた。侑はビクリと体を揺らすと眉を下げた。





「そっ、そないに嫌やった…?」

『………………誰が男とキスして喜ぶんだよ』

「やって、苗字女子嫌いやん」

『………………は?』




侑はキョトンとしながらそう言うと、首を傾げた。





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