Novel
澤村さんと電話セックス




なまえは、この男は一体何を言っているのだ、と手のひらで目元を押さえた。


事は少し前に遡る。
お互い大学に進学して、遠距離恋愛になってしまった二人。しかし毎晩、欠かさずに電話をしようと約束をしていた。
もうほぼ習慣となってしまった通話を続けていると、だんだんと大地の声が眠そうなものに変わっていく。

「もう切ろうか?」
そうなまえが尋ねるも、大地は喉の奥で小さく唸り、はっきりとしない。

「だって大地、眠そうだし」
「切りたくないな」
こっちまで眠くなりそうな間延びした声に、なまえは欠伸を噛み殺した。
「なまえ」
「ん?」
「おっぱい触って」

そして冒頭に戻る。

え、どうしたの大地。頭おかしくなっちゃった?眠すぎる?
なまえは目を見開いて固まったまま一瞬で思考を巡らせる。
「…未成年はお酒飲んじゃ駄目なんだよ?」
「はは、飲んでない。酔ってないぞ」
眉を潜めると、大地は電話の向こうで楽しそうに笑った。が、やはりその声はいつものような芯の通った声ではない。

「眠気覚ましにさ」
「……」
「あ、テレビ電話にすればよかった」
「しない!しないし、胸も触らないから!もう寝よう!大地きっと疲れてるんだよ!」
大地のペースに何とか持って行かれないように、なまえは必死に通話口に向かって声を押し込んだ。

「なまえ、俺もう、やってるから」
確かに、大地の息はだんだんと荒くなってきている。
「……しないよ」
「なまえのこと、考えると、やべえ」
「……」

黙りこんでいると、ハアハアと大地の色っぽい吐息が聞こえる。受話器を耳にあてているせいで、妙にそれがリアルに聞こえて、なまえは唇を噛んだ。
「…や、やだよ」
「頼む」
「……うう」
「なまえ…?」
切なげに呟かれる自分の名に、ついになまえは根負けしてしまった。
「胸だけだよ!」と顔を真っ赤にして言うと、耳元で大地が少し微笑んだ。



なまえは覚悟を決め、自分のパジャマの中に手を差し込んだ。柔らかな膨らみを手のひらで包み、手探りながらもそれを揉んでみる。
「……なまえ、触った?」
「うん。…でも、あんまり気持ちよくないかも」
やわやわと指を動かすも、大地から受ける愛撫のような快感は得られず、なまえは顔をしかめた。
「俺がいつもやってるようにやってみて」

低く唸るように言われ、なまえは目を閉じて大地の姿を想像した。

彼のゴツゴツと男らしい手が、なまえの乳房をたぷたぷと揺らすように弄ぶ。その次は手のひらで乳房全体を包まれ、そのときに手のひらと乳首が擦れるのもなまえの快感となった。指先で乳輪を優しくなぞり、なまえが物足りなくて身体をよじった瞬間、大地は少し強めにその飾りを摘むのだ。

「んっう、だ、いちぃ…!」
彼の手と同じように、きゅっと敏感な突起をいじめると、なまえは思わず声を上げてしまった。
「…は、気持ちいいか?」
「んぅ…」
こくこくと必死に頷くなまえの姿は大地には見えないはずなのに、彼は満足げに鼻を鳴らした。

「次、下さわって」
胸だけと言っていたのに、既にそんなことは思考から抜け落ちていた。
なまえはじくじくと疼いて仕方がない下腹部に手を滑らせる。
下着をずらして指先をちょんと付けると、ぬるぬるといやらしい液があふれていた。
「濡れてる?」
「…うん」

大地と一緒に絶頂へ辿り着きたくて、訳もわからず慣れない手つきで指先に愛液をまとわり付かせると、快感に飢えて震えている秘豆に塗りつけた。
「あ、あぁっん」
「は、ぅ、なまえ…」
クリクリと撫でると、なまえはキュンキュンと膣が収縮するのを感じた。
そのまま指を挿入して抜き差しすると、水音が部屋に響く。

「受話器、股んところに近づけて」
「っそれは、やだ」
「はあ、やべイきそ、」

一段と大地の息が荒くなる。なまえも、内壁をこする指の動きを速くした。
「あっあだいちっ、ぃ、あ…!!」
びくびく、と身体が痙攣し、なまえはベッドに身を投げた。

「うっ…」
はあはあ、と荒い呼吸で受話器を耳に当てっぱなしにしていると、少し遅れて大地が低い声で呻いたのが聞こえた。
「あー、なまえ、イッた」
「ん、私も…」

お互いに肩で息をしていたが、ふいに受話器の向こうで大地の声が聞こえた。
「やばい、すげえ出た。溜まってたもんな」
「こらそういうこと言わないー」
「…会いたいな」
「うん、私も」

確かにここ4ヶ月は電話こそしていたものの会う機会がなく、なまえもどことなく寂しさを感じていた。
彼も同じ気持ちでいてくれたのだ、となまえの心は温かくなった。




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