Novel
澤村さんとペット


ぐっ、と伸びをひとつ。
もうそろそろ起きようかな。きっと食事の時間だ。それに、大地くんが帰ってくるはず。

ご飯が入っているお皿に近寄ると、ちょうどピンポーンとインターフォンが鳴った。
「はーい」
お母さんがモニターを確認して、玄関へと歩いて行った。
私はもうケージの入り口で待機だ。

少しだけ経って、カチャ、とリビングのドアが開けられる。ちら、と見るとそこにはやっぱり大地くんがいた。
「おお、待っててくれたのか」
大地くんは人懐こそうな笑顔を浮かべて私に話しかける。
「ちょっと手ぇ洗ってくるから待っててなー」
もう、私は早く大地くんと遊びたいのに。
焦らされて、ケージの中をウロウロとしていると視界が少し暗くなった。見ると、もうケージは開け放されていて、大地くんが両手を小さく広げて待っていてくれた。
ずっと待っていた、今朝ぶりの匂いが嬉しくて、ぴょん、と飛び出した。
太ももの上にうまく着地した私のおでこから背中にかけて、大地くんの温かな手のひらが撫ぜる。

「ただいまなまえー」と、大地くんは私を抱きかかえてソファに座った。ちょっとだけ浮遊感が怖かったけれど、大地くんに包まれているからそんなのへっちゃらだ。
でも、彼の手のひらはなんだか少し湿っていて、思わずプルプルと身を震わせると「あれ、まだ濡れてたかな」と大地くんの手が離れていく。

違う、そんなつもりでやったんじゃない。
大地くんを見上げると「あ、エサがまだだったな」と冷たいフローリングの上へ降ろされてしまった。
もう!どうして大地くんに私の気持ちが伝わらないの!

袋からガサガサと私のご飯を取り出している大地くんをツンツンと鼻でつついてみても、大地くんは「ちょっと待てー」と軽く流してしまう。

大地くんなんてもう知らない!かまってあげないんだから!
私はそれにすんごくムカッと来て、大地くんにシッポを向けてご飯を食べる。

でも、ご飯を食べながら大地くんに背中を撫でられると、そんな気持ちもどこかへ飛んでいってしまうのだった。




*****
大地さん×ウサちゃん
どうしてウサギかというと、私がウサギを飼っていて溺愛しているからです。


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