いつかきみが枯れてしまうまで | ナノ
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03

 バウタウンはガラル地方の東にある港町だ。
 豊富な海の幸を扱う飲食店はメディアによく取り上げられ、市場には毎日新鮮な魚介類が並び、ここでしか販売されていない珍しい物も多い。
 町で一番大きな建物、バウスタジアムには、くさバッジを手にしたチャレンジャーが集まっていた。
 まだ序盤であるためか、皆のペースに大きな差はないようで、ターフスタジアムで見かけた顔が何人もいる。
 バウスタジアムのジムリーダーはひこうタイプのポケモンをパートナーとしており、残念ながらモンメンのくさタイプの技と相性は悪い。同じひこうのアオガラスやほのおのガーディを主として戦ってみたが負けてしまった。
 アオガラスやガーディたちが弱かったわけではない。バウタウンへ向かう途中、積極的に野生のポケモンとバトルをし経験を積んだ。ポケモンたちとの意思疎通もしっかりできていて、場を読んで有効な技を的確に選び、指示にも問題はなかった。ただ、アンには決定的に足りない物があった。

 アンに足りない物――それは、《ダイマックスバンド》だ。
 ガラル地方では、『ダイマックス』と呼ばれる現象が見られる。
 この地方でのみ発見される『ガラル粒子』という物質がポケモンに影響を与え、建造物かと思うほどに巨大化して見える事象を、ポケモンについて研究をしている博士が論文にまとめ発表し、ガラル全土に知れ渡った。
 このダイマックス現象は、一年ほど前から公式試合をはじめ、スタジアムで行われる様々なバトルで取り入れられるようになった。
 ダイマックスを故意に行うには、ダイマックスバンドとガラル粒子が放出される場所――『パワースポット』を揃えなければならない。そのため、ダイマックスが可能なように場所を選んで建造、または移設等が行われた。
 チャレンジャーとバトルするジムリーダーは、一部を除きダイマックスを使用する。ダイマックスしたポケモンは大きさに比例してパワーアップし、チャレンジャーには脅威そのものだ。

 そのダイマックスに必須のダイマックスバンドを、アンは持っていない。
 本来であれば、チャレンジャーはバンドを用意するのが望ましいのだが、アンには手に入れる当てがなかった。
 従兄のヤローは、昨年ジムチャレンジに挑む際に、有望なチャレンジャーへ渡すようにと、リーグ員会からターフスタジアムへ配布されたうちの一つを譲ってもらったが、今年から参加するアンの分は用意ができなかった。
 優しいヤローが自分の分をアンへ譲ろうとしたが、アン自身が頑なに拒んだ。
 ヤローはターフ出身のチャレンジャーの中で、チャンピオンに一番近いトレーナーだ。そんなヤローからダイマックスバンドを貰うなど、たとえ強いられてもアンは拒絶しただろう。

 ダイマックスができないから勝てない。そんなことを言い訳にはしたくなかったが、改めて挑んだ二回目も、ジムリーダーのダイマックスしたポケモンに負けてしまい、がっくりと肩を落としながらスタジアムを出た。
 周りを見回せば、目に留まるチャレンジャーの多くは、腕にバンドを嵌めている。アンのように持たない者もいたが、バウスタジアムで見かける人数は少なくなった。
 ダイマックスバンドは高価な品だ。珍しい鉱物を使用し作られるので、大量生産が容易でなく、広く流通はしていない。
 そのため、持たずともチャレンジの参加は認められている。ただし、所持しているトレーナー違い、ジムリーダーとはダイマックスなしでバトルとなるので、ジムチャレンジはよりいっそ厳しくなる。
 お金を貯めて、どうにかダイマックスバンドを手に入れるべきか。しかし子どものアンには、大金を短期間で稼げる能力はない。それぞれのジムには挑戦できる期間が定められている。バウスタジアムもいつまでも挑めるわけではない。
 後ろ髪を引かれるも、バトルで傷ついたポケモンを元気にしなければならない。アンがスタジアムを背に歩いていると、前方から賑やかな声が聞こえる。

「やっと着いた! ダンデくんがあっちこっちで迷うから、こんなに遅くなっちゃったじゃない!」
「でもその分たくさんバトルをして、ソニアのポケモンたちもいい経験ができたぜ」
「そりゃそうだけど、しなくていい苦労っていうものがあるのよ」
「オレはバトルを苦労だと思ったことはないぞ?」
「ダンデくんはね。バトル馬鹿だもん」
「まあな!」

 親しいやりとりは、まだ随分と距離があるにも関わらずはっきりと聞こえてくる。よく通る二人の声に、アンの口元が緩んだ。

「ダンデくん、ソニアちゃん」
「おっ、アンだ!」
「アンさん、こんにちは」

 声をかけると、ダンデが大きく手を振り、ソニアは礼儀正しく挨拶をした。

「二人は今からジムチャレンジ?」
「そうなんです。さっきやっとバウタウンに着いて……」

 ソニアが疲れを表すように、両肩をがっくりと下げる。またダンデが迷い、探しながらようやくここまで辿り着いたのだろう。「お疲れ様」とソニアに向けて思わず労いの言葉が出た。

「アンさんは、もうバウスタジアムのチャレンジは終わったんですか?」
「それがまだ。さっきも二回目のチャレンジだったんだけど、負けちゃって」

 二度の負けを報告するのは恥ずかしかったが、隠していても仕方ない。アンは正直に答えた。

「バウスタジアムのジムリーダーって、そんなに強いんですか?」
「どうかな。きっと、わたしが弱いだけだよ」

 早々にひこうバッジを受け取って、バウスタジアムを後にする者は少なくない。ジムリーダーが強いというよりは、アンに勝てるだけの実力が備わっていないと捉える方が正しい気がした。

「本日のジムチャレンジの受付は終了となりました。チャレンジ希望の方は、明日の9時以降にお越しください」

 スタジアムから出てきたリーグスタッフが、集まっているチャレンジャーに向け、受付終了の旨を伝える。スタジアムに入る前はまだ高い位置にあった太陽は西へ傾き、空は朱色に染まっていた。

「終わっちゃった」
「惜しかったな。明日は朝一番に行こうぜ!」
「ダンデくんがスタジアムへ着くまでに迷わなかったらね」

 じっとりとした目で見られても、ダンデはどこ吹く風といった様子で笑って返す。ダンデの悪癖を考えると決して冗談でも笑い事でもないのだが、当の本人はまったく案じていない。

「お腹空いちゃった。バウタウンは屋台も美味しいって有名なのよね」
「ならそこで食べよう。アンも一緒に」

 ソニアに返したあと、ダンデはアンを誘う。

「お邪魔じゃないなら」
「邪魔なもんか」
「アンさんなら大歓迎ですよ。ああ、これで一人でダンデくんを見続けなくて済む……!」

 天に祈るような仕草を見せるソニアに、アンはこっそり同情した。


 先にバウタウンに到着していたアンは、何度か屋台で食事をしたことがある。
 オススメの店があればと頼まれ、メニューは少ないが値段が手ごろで、チャレンジャーにはちょっとだけサービスをしてくれる屋台を案内した。
 広場に用意されているテーブル席を見つけ、三人は買った料理を持って腰を下ろす。

「バウスタジアムはどんなジムだったの?」

 食事を始めてすぐ、アンへ話を振ったのはソニアだ。屋台へ向かう途中やメニューを選んでいる最中に打ち解け合い、ソニアは親しみを込めて敬語をやめた。アンにとってもずっと仲良くなれた気がし、年齢を気にしない友人が増えて嬉しかった。

「ひこうタイプのジムだよ」
「ソニアのワンパチが活躍できるな」
「だといいんだけど」

 ソニアは両手を上げて肩を竦めると、ドリンクのストローに口をつけて一口飲んだ。
 ワンパチはガーディと同じく仔犬の姿のポケモンで、ひこうタイプの弱点であるでんきタイプの技を覚える。ガラルでは牧羊犬としても活躍し、ヤローの家でも数匹が家業を手伝っており、アンにとって幼い頃は遊び相手だった。

「でもアンが二回も負けるんだから、油断できないよ。当然あっちも、でんきタイプの対策だってしてるだろうし」
「だからそれを見越して、いろんなタイプのポケモンも仲間にするんだ。状況に応じてポケモンを入れ替え、覚えさせる技の構成も練り直す。ワンパチはじめんタイプの技に弱いから、対策としてじめんタイプに――」
「あー、はいはい。分かった分かった。バトルのことは置いておいて、今はご飯を食べよう」

 バトルの極意を説きだしたダンデを鬱陶しそうにあしらい、ソニアは隣に座るダンデから少し体を背けた。食事のときぐらいは難しいことを考えず、ゆっくり語らいたいスタンスなのだろう。アンも似たようなもので、止めていた手を動かす。

「そういえばアンは、ダイマックスバンドを持ってないんだな」

 ダンデがアンの、何も装着していない両手首を見て言う。思わず引っ込めそうになったが、食事中はテーブルより下へ手を置かないと躾けられたため、逃げ場もなくそのまま堪えた。

「もしかして、ダイマックスなしで挑戦してるの?」
「そういうつもりじゃないんだけど、そんな感じ」

 そう言われると、何やら大層な目標を掲げ挑んでいるように思えるが、ソニアたちが考えるような心意気で臨んでいるわけではない。まったくの不本意だ。
 アンと違い、ダンデやソニアは右手首にバンドを嵌めている。アンが今一番欲している、ダイマックスバンド。

「二人はダイマックスバンドを持ってるんだね」
「ああ。ローズ委員長に推薦状を貰ったときに、一緒に渡されたんだ」
「ローズ委員長に? ダンデくん、ローズ委員長から推薦されたの?」

 口いっぱいに頬張ったダンデが首肯する。ローズ委員長はポケモンリーグの最高責任者であり、ジムチャレンジは彼を中心に運営されている。開会式で朗々とスピーチする姿は、伊達男の見本のようだった。

「アタシは、おばあさまがポケモンについて研究しているから、おばあさまに貰ったの。推薦状もおばあさまから」
「ソニアのお祖母さんは、マグノリア博士なんだぜ」
「マグノリア博士って……ダイマックス現象について研究している、あのマグノリア博士?」

 ポケモン研究の界隈にあまり詳しくないアンでも、マグノリア博士の名は知っていた。
 ガラルが誇る偉大なる博士として、テキストブックでも紹介されている。ダイマックス現象の研究において第一人者であり、図書館には彼女が書いた本も並んでいた。

「二人ともすごいなぁ」

 方やリーグ委員長。方や高名な博士。
 もちろん、アンを推薦したターフスタジアムのジムリーダーとて、推薦人に相応しい人には違いない。
 しかし委員長や博士に推されたダンデたちは、なんだかきらびやかな『箔』を纏っているように見えた。

「すごいのは委員長やマグノリア博士であって、オレたちには関係ないからな。ダイマックスなしでチャレンジを続けているアンの方がすごいと思うぞ」
「そうそう」

 あっけらかんと言ってのけるダンデからも、深く頷くソニアからも、謙遜や慰めは感じられない。二人は本心から、ダイマックスなしでチャレンジを続けるアンに感心している。
 アンの内心は複雑だった。アンは持たざる者だ。持つ者からの尊敬にも似た瞳を、素直な気持ちで受け止めるにはまだ幼く、嫉むような気持ちを表に出さないように努めるだけで精一杯だ。
 トレーナーの食事が終わり、今度はポケモンたちの番。ソニアのワンパチが人間のご飯を欲しがって困るからとわざと時間を分けたため、彼らには少し遅めの夕飯。
 意外にもダンデが連れていたポケモンはリザードのみで、ソニアもワンパチとホーホーの二匹。ソニアにバトルについて熱を持って語っていたのでもっと連れているのかと思ったが、ダンデは「リザードは最高の相棒だぜ」と力強く返した。
 アンも屋台で買ったポケモン用のフードを用意し終えると、ボールからモンメンたちを出してやる。

「あっ、モンメン! 初めて見た!」

 初めてアンのモンメンと会ったソニアが、エメラルドグリーンの瞳を輝かせる。いつぞやのダンデを思い起こさせる反応に、アンは「触ってもいい?」と許可を得るソニアに快く応えた。

「たしかモンメンは、《たいようのいし》で進化するのよね」
「へえ、そうなんだ」

 モンメンの綿毛の感触を確かめるソニアの言葉に、アンはびっくりした。ココガラのように、モンメンも経験を積んでいけばいつか進化するのだとばかり思っていた。

「《たいようのいし》ってこれか?」
「それそれ。太陽の力が、進化を促すんだってさ」

 ダンデの手にあるのは、太陽を模した石。陽が落ちた暗がりの中でもはっきりと形が分かるくらいに、ほのかに光っている。

「アン、受け取ってくれ」
「えっ?」

 スッと前に差し出され、アンは驚いた。

「アンにはいろいろと世話になった。大した礼にはならないけど、アンの役に立つなら貰ってほしい」
「でも、これはダンデくんが拾ったものでしょう?」
「いいのいいの。ダンデくんってば、迷ってるときにいろんな石を拾ってるから、たくさん持ってるよ」

 遠慮するアンに、ソニアが気にするなと声をかける。望んでいない寄り道だが、思わぬ功を奏しているようだ。
 せっかくの厚意を無下にはできず、事実モンメンのこれからを考えたら、今ここで手にできるのは有難い。

「ありがとう。頂くね」
「早速モンメンに使ってみたらどうだ? どんな姿になるのか見てみたい」
「何だったっけ。そうそう、エルフーンだったはずよ。進化したら今より強くなるはずだし、バウスタジアムのジムリーダーに勝てるかも」

 二人がアンが持つ《たいようのいし》とモンメンを見て、進化するのを期待している。
 急な展開に当人のアンは戸惑った。モンメンに顔を向けると、事態を理解していないらしく、ふわふわと浮いたまま、つぶらな目をアンに向けている。

「今は――まだ、やめておくよ」

 アンは《たいようのいし》をぎゅっと握りこんだ。

「モンメンはね、親がわたしの代わりにゲットしてくれた子で、わたしがジムチャレンジを始めるまで、バトルなんてしたことがなかったの。わたしの勝手で旅に付き合ってくれて、バトルだって本当は好きじゃないかもしれないのに、一所懸命に頑張ってくれてて。わたしがうまく勝たせてあげられないからって進化させるのは、モンメンを急かしてるみたいだから」

 モンメンはアンにとって家族だ。種族は違えど兄弟のように、もしかしたら子どものように可愛がっている。
 ジムチャレンジに参加すると決めて、アンは当たり前のようにモンメンを連れることを決めたが、モンメンにとってバトルは楽しいものではないかもしれない。時には怪我を負うこともあるのに、アンの指示に従って技を繰り出すことは、望んでいないかもしれない。
 けれどモンメンは逃げ出すこともなく、アンのそばに寄り添い、アンと共にバウタウンまで付いて来てくれた。

「もうちょっとだけ、今のままチャレンジを続けて、それから考えてみたいの。いいかな?」

 バウスタジアムで苦戦が続いているのは確かで、少しでも力を付けるべきなのはアンも分かっている。
 けれどジムリーダーに勝てないのは、トレーナーである自分の弱さではないかと、モンメンの無垢な瞳を見て気づいた。
 ダイマックスさえできれば――そんなことはきっとない。ダイマックスバンドを持たないチャレンジャーが、ひこうバッジを手にして次の町へ駆ける背中を見たこともある。
 ターフのジムリーダーは、知恵や工夫をし自身も鍛えろと言った。
 父も、道具は使い方次第だと説いた。
 モンメンたちはアンのために全力で応えている。自分はどうだろうか。トレーナーとして、まだできることがあるのではないか。

「構わない。アンのその考え方、オレは好きだぜ!」

 石を贈ったダンデは、アンを明るく肯定した。手の中の《たいようのいし》に勝るとも劣らない、太陽のような笑みにアンの胸は安堵する。

「ペースがあるよね。アンはアンのペースで、アタシもアタシのペースで」
「ソニアはちょっと考えた方がいいと思うぞ。ワンパチなんてもう進化できるレベルなのに」
「いいの。ワンパチはこのままで十分なんだから。ねー、ワンパチ」

 ソニアがポケモンフードの器に頭を突っ込んでいるワンパチに呼びかける。顔を上げたワンパチは舌を出したまま、つぶらな瞳で頭を傾げた。



 バウタウンの屋台での夕飯を終えたアンたちは、町の宿泊施設で一泊した。
 ジムチャレンジの参加者なら無料で利用できる『スボミーイン』は、ジムのある各町に構えており、疲れたチャレンジャーに快適な寝床を提供する。久方ぶりにキャンプ生活から解放されたソニアは、シャワーをゆっくり浴びられることに感激していた。
 翌朝、ダンデが迷って遅れないように、ソニアがバウスタジアムまでついて来てほしいとアンに頼んだ。
 断る理由もなく、つい見当違いな方向へ足を向けるダンデを二人で止めながら、バウスタジアムまで送り届けた。

 アンはいろいろ考えた末、ワイルドエリアに向かうべく、『そらとぶタクシー』でキバ湖の東に向かった。
 アーマーガアに運んでもらうタクシーは、ホテルと同じくチャレンジ中なら無料で利用でき、チャレンジャーの足ならぬ翼になっている。
 ワイルドエリアに来た目的は、もちろんバウスタジアムを通過するための力をつけること。ひこうタイプに強いポケモンをゲットする考えも過ぎるが、今の仲間たちで勝つことを望んだ。
 ワイルドエリアで経験を積み、疲れたらターフタウンに戻り、家族と過ごして英気を養った。
 母はアンの好物を食卓に並べ、父はアオガラスのための止まり木や、ガーディが気に入るベッドを用意した。
 公平を期すために、ターフのジムリーダーに教えを乞うことは禁止されている。それでも昔のよしみということもあり、エンジンシティの図書館での勉強を勧めてくれた。ターフタウンの小さな図書館とは比べ物にならない、たくさんの蔵書のページを捲って、アンは突破口を探し続けた。

 努力の甲斐あってか、三度目の挑戦は成功し、念願のひこうバッジを受け取った。
 喜びのままソニアへメッセージを送る。二人はバウスタジアムのチャレンジを一回で通過し、随分前にバウタウンから離れた。
 返信には、さきほどエンジンスタジアムの挑戦を終え、二人揃ってじめんバッジを手にしたと綴られている。

『アンも頑張って! アタシはダンデくんを次のジムへ連れて行くのが大変で、もう骨が粉になっちゃうよ』

 『骨が折れる』を通り越して、粉砕されてしまったと言いたいのだろうか。独特の表現に笑みを浮かべながら、続く『だから早く来て』の一文に、ソニアの疲労の度合いを察した。エンジンシティにも昨日着いたらしいので、今回も相当遠回りをしたようだ。
 アンは気持ちを新たに、二人がこれから発つであろうエンジンシティを目指した。
 エンジンスタジアムのジムリーダーはじめんタイプのポケモンで迎え撃ってくる。ガーディはともかく、モンメンやアオガラスなら相性はいい。
 勢いのままに勝とう。今の自分ならやれる。足取りは軽やかだ。

20220206