「ねーえー、銀ちゃーん」
「なんだよ、うるせーな」
「何で彼女が来てるってゆーのに寝ようとしてんのー」
「なんでって、‥そりゃオメー、昼寝の時間だからに決まってんだろ」
仮にも私の彼氏、万事屋の坂田銀時は彼女が会いに来てるってゆーのに今まさに敷きっぱなしの布団に身体を預けて眠りに落ちようとしている。
「私がせっかく会いに来てるのに?」
「‥‥‥‥」
寝てますよ、このクソ天パ。
あ‥今、天パとか言ったの気のせいですから。クソとかも気のせいですから、いくら酷い天パだと思ってようとクルクルうざったいと思ってようと、そんな本人がコンプレックスに思ってることを責めたりしないよー。まあ、実際すっごくうざいんだけど。
「‥ぉ、オレのジャンプ‥」
さあ、どうしてくれようか。
可愛い彼女が来てるってゆーのに!呑気に寝息なんか立てちゃってさ‥。寂しいぞコノヤロー。
しかも寝言は「オレのジャンプ」だよ!?信じられない。そこ空気読んで「オレの名前」とかにしとこーよ。
小さくため息を溢す。
いつも以上に銀ちゃんに構ってちゃんになるのは、今日が一年記念日だからじゃなくて、外が雨でちょっと肌寒いから。
銀ちゃんが記念日を憶えてるなんて期待してなかったし、そんなにガッカリしてない。
なのに、こんなに寂しいのは何でだろう?
「‥忘れないでよ」
ポロッと出た本音に涙が零れたのは悲しいからじゃなくて、同時に聞こえた私を呼ぶ声が嬉しかったから。
「名前、おいで」
戸惑うことなく飛び込んだ胸はいつも以上に広くて安心した。
私を抱き枕のように抱き締める貴方が愛しくて思わず笑みを溢すと、甘えるように銀ちゃんの顔が私の首元に埋まった。そのまま抱き合って一緒に瞳を綴じた。
その後、静かに囁かれた言葉と一緒に私は夢の世界へおちていった。
「おめでとう、これからもずっと一緒な」
お 昼 寝 は 隣 で
(柔らかい身体は腕の中)