「ねえ、グレイ?」
「なんだよ、」
「私たち、ずっと一緒だよね?」
「当たり前だろ」
次の日、オレたちの街はデリオラに襲われた。
オヤジと母ちゃんはデリオラに殺られた。
マイリンの姿もどこにも見つからなかった。
でも、やっと見つけたんだ。
昔よりずっと綺麗になった君を
君は覚えていますか?
─────幼い日の、約束を
「あの―……、すみません」
小さく可愛らしい声がギルドの騒がしい音に掻き消される
恐る恐るギルドの中に足を進めていったその声の主は一人の変態に声をかけた
「あの、すみません」
「あ?」
半裸姿の男が振り向く
言うまでもなく、その男はグレイ・フルバスター
威嚇するように振り向いた男の顔は一瞬にして驚きの表情へと変わる
「FAIRY TAILに入りたいんですけど、マスターはいらっしゃいますか?」
丁寧な言葉使いの女は男の半裸に多少戸惑いながらも問い掛ける
騒がしかったギルドは一瞬にして静まり返った。
「…………」
男は何かを考えるように女の顔をじーっと見つめるだけで何も答えない
「あの…、私の顔に何かついてますか?」
男の視線に戸惑いながら聞く女は、どこか幼さが残る顔付きで男の忘れかけた古い記憶が蘇る
男は目の前にいる女が紛れもなく、己の中に鮮明に残る記憶にいた少女だと確信した。
あの日、少女がくれた2つのミサンガは手につけても足に付けてもぶかぶかのサイズで何でこんなに大きくしたのかと問うと、少女は“大人になってもずーっとつけていられるように”と笑顔で答えた。
その笑顔に初めて恋をした。
「大人になってもずーっと付けられるようにぶかぶかに作ったのに、俺には入らなくなったぞ」
男の小さな呟きに女は驚いたように口を開く
「……グレイ?」
幼き日の思い出が、蘇った瞬間だった
‐fin‐