「なぜ僕が社交界などに行かねばならんのだ」
「坊っちゃん、いつもいつも招待をお断りになってしまいますと、評判が悪くなってしまいますよ」
「……はぁ、仕方ないな。馬車を用意しろ」
「イエス、マイロード」
宴の夜に君を見つけた
「……きゃっ、」
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「……はい、私は大丈夫です。でもグラスが…」
「大丈夫ですよ、気を付けて下さいね。」
「はい、」
「なんだ、?」
「躓いてグラスを割ってしまったようですね」
「慣れない社交界に緊張している、ってとこか」
「見るからに、初めて社交界に来た。という感じですね」
────
「すみません!!」
「気を付けてくださいよ」
「……ごめんなさい」
「…なんだ、」
「ダンスでお相手様の足を踏んでしまったようですね」
「ふん、騒がしい女だ」
────
「や、やめてください!」
「いいじゃないですか、ほらほら行きましょう」
「や!、離してください」
何なのこの人!お酒臭い
「ほら、楽しいこと教えてあげるよ」
やだやだやだ、
「はなしてっ!」
振り払った手が男の顔を直撃した
「この女!…何をする!!」
男はテーブルからシャンパングラスを取り、マイリンに向けて中のシャンパンを放つ
「きゃっ!!」
それを庇うようにシエルがマイリンの前に立つ。
─ ばしゃッ ─
「………伯爵」
「宴の席です。今日はこの辺で、」
「……っち」
「大丈夫か?」
「あ、はい!ありがとうございます。」
「大丈夫ですか?、坊っちゃん」
「ああ、」
「どうやら権力を利用して、有無を言わさず気に入った女を強姦しているようだな。」
日本語だ……
「ファントムハイヴ家もそれ相当の権力ををお持ちなのでは?」
「僕にそんな趣味はない。それに黙っていても女は寄ってくるしな」
「先程の方は、かなりの噂になっているようですが、それでも自戒できないところを見ると、余程の馬鹿か恥知らず、もしくはセックス依存性なのでしょう」
「医者も匙を投げる救いようのない病というやつか」
「…くすっ……。あ…」
シエルは唇に人差し指を当てて
「 shh── 」
「お嬢さん、踊っていただけませんか?」
「おやおや、」
おまけ
「坊っちゃん、今日の舞踏会はいかがなさいますか?」
「……行かない」
「マイリン様もいらっしゃるようですが…」
「………馬車を用意しろ」
「……イエス、マイロード」
─ Fin ─