「なあ、」

「…ん?」

長い旅を経て取り戻した身体。

久しぶりに、君の体温を感じたくて伸ばした手を強く握り締めて、引いた。

「…いや、なんでもねぇ」

幼い頃は何躊躇なく触れていたその身体に、今は触れることが出来ないでいる。それはきっと大人になった証拠で、君の首や足、胸に視線がいってしまうのもきっとそれが理由だ。

触れたくて仕方がないのに、触れられなくて…もどかしい。



「ねえ、エド。私にさ、言うことないの?」

「あ?」

君から漏れたのは小さなため息。

「なんだよ、」

「“す”で始まって“き”で終わることとか言いたかったんじゃないのかなーって」

「お前なに言って…、はぁ!?」

「私のこと好きなんでしょ?」

「なに言ってんだよ、わけわかんねー!!」

大げさに頭掻いたり、明らかに動揺なんかしちまったり。

「ふーん、わけわかんないんだ。へぇー」

「なななな、何なんだよ!」

「いいよ、別に」

「っ、何がだよ!!!」

「私の片思いでも」

うわ、俺めっちゃくちゃかっこわりー。
女に告白させちまうなんて。
でも、それ以上にお互いの気持ちが繋がっていたことが嬉しくて口元が緩んでしまう。

「エド、気持ち悪いよ」

「あー!もう悪かったなぁ!!嬉しいんだよ!」

「私と両思いだったことが?」

「そーだよ、わりーか!!…って、え?」

「知ってたよ、エドの気持ち。アルが教えてくれたから」

「はぁ!?」

「2人が旅に出てから、アルが時々手紙くれたの。あ、ちょっと待っててね」

「あ、おい!」

がさがさと何かを探している名。

「あったあった」

手に持っていたのは、手紙。
それを音読し始めた。

「兄さん、今日はねマスタング大佐に豆って言われてすっごい怒ってたよ。それからね、お子様扱いされて、いつか大好きな幼馴染を世界一幸せにするって大口たたいてたよ。その後の帰り道で何て言ったと思う?あーあ、名に会いてぇなあ。だって。兄さんは結構恋愛には疎いと思うから、名頑張ってね!」

「ノオオオオォっ!!」

アルめ、一生恨んでやる。

「ごめんね、なんか騙したみたいなことしちゃって」

「ほんとだよ、一生分の恥ずかしさ使い果たした気分だ。身体で責任とりやがれ」

「え!?」

「ほら、来いよ」

「やだやだやだ!恋愛には疎いんじゃなかったの!?」

「誰がそんなこと言ったよ」

「アルが…っ、やだっちょっと!」



久しぶりに触れた君の身体は、心地よかった。




今なら君に伝えられる言葉がある
(セックスしよう!)








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