何者にも止めることを許さぬかのように荒々しく燃え盛る炎。
その勢いを物語るように、もくもくと上がる煙。
俺たちの代わりに泣く幼なじみ。
その優しさに、これから歩み出す道のりがとてつもなく酷に、リアルに見えてくる。
辿り着けるのか分からない。でも歩き続けなければならないのだ。
過ちを犯した者に、神は容赦なく天罰を下した。
もう、振り返ることすら許されない。
過ちを悔やむことも、立ち止まることすら許されないのだ。
犯した罪を背負って生き続けること、それが‥神の領域に足を踏み入れた、禁忌を犯した者への天罰だ。
表情一つ変えず立ち尽くす、もう一人の幼なじみ。
一切、口を開かず。瞳は炎々と燃え盛る炎を見つめる。
足枷になる思い出の場所を焼き払ったのは、立ち止まらないため。
わざわざ、それをしたのは‥生きているだけで十分だと自分に言い聞かせて立ち止まろうとした自分を戒めるため。
それでも尚、立ち止まってしまいたくなる衝動に駆られる。
だから、一言。一言だけでいいから。
もう帰ってくんな、それだけ。それだけでいいから。俺を突き放して、前に進むきっかけを作って欲しいんだ。
君なら、そう言う。
いつも俺たちの背中を押してくれる。
そう信じてた。
「名、」
「‥‥」
「俺たち‥」
「言わないから」
「‥え、?」
「絶対、言わない」
生かされた。
自分一人の力では立ち上がることすら出来ない身体でも。
生かされた。
禁忌を犯しても尚、生きることを許されたのは‥その先に果たす役目があるから。
左足、右腕。肉体のすべてを失っても尚、立ち上がる強い心に‥その小さな身体のどこにそんな強さがあるのかと、誰もが思うだろう。
でも、それは‥
小さな、小さな彼らだけの強さではないのだ。
いつか、君に
(お礼をしたいん、だ‥)