※ばかっぷる…



たまの休みに何をやっているのかと、思わないことも無いが、仕方がない。

昼過ぎに、久しぶりにこの家に来てみれば、案の定干物のような臨也に遭遇。

臨也は俺を見るなり寝やがった。人がせっかく来てやったのにと、普通なら怒るところだが、どうせろくに寝てないんだろう。人の顔を見るなり安心したように眠るのを見るのも、まあわるくはない。

せめて布団に行けというのにうにゃうにゃと言葉にならない音を発して意識を飛ばすようにもたれてくるから、仕方がない。ベッドまで運んでやった。細い、骨が刺さって痛い、いったいいつから食べていないんだ。


意外などと言われることもあるがこう見えて俺は几帳面な方なのでいそいそとこの悲惨な家の洗濯、掃除を始める。と言ってもあまり生活している痕跡もないので存外あっさり片付く。

あらかた家が片付くと満足して、さあ今度は夕飯作りだ。


時間はあっという間でもう陽が傾き始めていた。


メインはこちらである。一週間に一回、せめて今日だけはまともに食わさねば。
大体用意すればたくさん食べるのだ。作り甲斐はある。ただし口うるさい。既製品を出そうものには箸をつけることすらしない。


さて、何をつくろうか。迷った挙句今日は俺の好きなものばかりをつくることにした。
たまにはそんな日があってもいいはずだ。それに、牛乳は栄養満点だ。




「ほら、臨也、起きろ」

「んん、まだあ」

無理やり起こすのも可哀そうだが、飯を食べなくては始まらない。それにもう大分寝ただろう。

「うまいもんつくってやったんだから起きろよ」

「うんー」

「冷めたらまずいぞ、ほら」

「たべたい……」


首に腕をからませて来るのでそのまま軽く口づけて上半身を引っ張り上げた。

「おはようシズちゃん」

「おはよう、もう21時だけどな」





「うわああ」

「なんだその微妙なリアクションは」

「いや、なんか、白い?」

「そんなことねえだろ」

「いや、白い…白いでしょ」

「ごちゃごちゃうるせえな。食わせねえぞ」

「あああ嘘嘘っいただきます!」

「はい、いただきます」

今日は牛乳料理のフルコースだ。



「今日は何かあった?」

無意識なのか意識的なのか、臨也の話し出しはいつも決まっている。今日はなにがあったのか。でも決まってこれはいつのまにか臨也の何があったか話にすりかわっている。つまりこいつは今日何があったかを話したいだけなのだ。小学生みたいだ。話の内容はえぐいけど。

今日だってほら、俺が話し出して間もないというのにもう臨也のこんこんとした大演説が始まっている。


小学生みたいと言えば、こいつの食べ方もちょっと小学生みたいだ。言ったら絶対怒るから言わないけど。
きれいに食べようと思えばそれは抜かりないくせに、こうやって話に夢中になってるとだめだ。とくに俺の前では気を抜きすぎで、ああ、今だってクリームパスタのソースが口端についてしまっている。

「ちょっと!シズちゃん聞いてるの」

「はいはい聞いてるって」

顎を押さえながら親指でソースを拭う。うん、我ながら美味いな。

「な、舐めないでって言ってるじゃん!」
「なに照れてんだよ今更」

「照れてない!シズちゃんを躾てるの」

これだけ人に世話を焼かせておいてよく言えたものだ。

まあいい。これ以上つっこんだって臨也の機嫌が悪くなるだけだ。

「で、何の話だっけ?」

「だから、俺がその女を陥れたってとこまででしょ!」

「あーあーそうだった。本当にえげつないことするなあ」

「はあ?ちょういい話じゃん、まったく」

「ほれ、臨也、あーん」

「あーん?」

差し出せば犬のように単純に食いついてくる。

「うまいか?」

「おいしい!って話をそらさないでよ!」

「うまいならいいじゃん」

「俺の話聞く気ないんでしょ?」

「お前こそ俺に感謝してんの?」

「はあ?してるに決まってんじゃん。何いってんのもう、本当にばかだね!」

ん?珍しいこと言うなと思ったら、臨也は顔を真赤にしてばーかと子供みたいに強がった。

ああ、本当にかわいい。なんだこいつ。

来週も来てやろうと、これだから思えるのだ。




______

あんまりご飯を食べてない…!
ご飯を食べる→食べるまでには…にいつの間にか脳みそが変換してしまっていたようです…
馬鹿な話になっちゃってすみませんっ…恥ずかしい奴ら…
たいへんおそくなりました、リクエストありがとうございました^^



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