「シズちゃん、寒い」

「はいはい」


最近、急に寒い日が多くなった。季節の移ろいが早すぎる。正直身体が追いついていない。
それにしても今夜は特別寒い。毛布にくるまっているのにそれでも寒くて、シズちゃんを要求すると後ろから大きな身体に包まれる。

約束をしているわけでもないのに、毎週金曜日の夜にシズちゃんはやってくる。金曜のよるはしあわせの夜だ。


「明日は早いの?」

「いや、昼まで居るつもりだけど」

「夜は忙しいの?」

「別に日曜まで居てやってもいいんだけど?」

「そんなこと言ってないでしょ!」

なあんだ。日曜日まで居てくれるのか。じゃあ明日は一日のんびり過ごしてもいいなあなんて勝手に妄想していると、いきなりシズちゃんに噛みつかれた。

「何!」

「いや、ちょうど頭があったから」

つむじを甘噛みされて、今度は耳をかじられる。本当に犬みたい。

「ん、くすぐったいって」

さっきまで散々やっていたというのに、嫌だって言っても止めてくれなかったくせに、まだ足りないとでもいうんだろうか。

「臨也」

名前を呼ばれてうっかり出来てしまった隙にちゃっかり身体をくるっと回されて、口をふさがれてしまう。

「やっ、…め」

止める間もなく離してもらえない。う、あ、本当に苦しいって!


気持ちいいとかなんとかとかそんな余裕は少しもない。本気で背中をどんどん叩くけどシズちゃんはびくともしない。

「んっ…」

うわ、苦しい、本当にもう無理だって! 限界の限界、意識が飛びかけたところでやっと離してもらえた。とたん咳が湧いて治まらない。

「やめ、って言っ、たの…に…!」

やっとのことで言うとシズちゃんはぽかんとしてこんなことを言うのだ。

「そんなこと言ったっけか?」


信じられない!絶対言った!ちなみにさっきから合わせると100万回くらい言った!

「おい、大丈夫かよ」

治まらない咳にやっとあたふたしだしたシズちゃんを怒鳴りつける。

「み、ず!!」


あああ、今日がもしも、日曜だったら俺はもっとかんかんだった。許してあげなかったかもね。

それでも今日は金曜日の夜だから。しかたない、週末のシズちゃんの時間いっぱいで償わせてあげないことも無い。








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あとがきは日記にて。
リクエストありがとうございました!



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