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04 溺れたこころ



ざあ、と雨が降り始めた。そういや神楽が朝から出掛けたが、奴はいつでも傘持ってるしバケモノだから大丈夫だろうと、さして気にすることもなくテレビの電源を入れる。新八は1時間ほど前に冷蔵庫の中身の調達に出掛けた。ちょうど帰りがけだろう。意外と今ごろ近くまで来ているかもしれない、なんて思っていたら案の定玄関が開いた。


「はー、いきなり降ってくると困るなあ、まったく」

「おっ、ぱっつぁん。俺のイチゴ牛乳買って来てくれた?」

「買って来ましたよ、ついでに神楽ちゃんの酢昆布も。……ってアレ、神楽ちゃんまだ帰ってないんですか?」


新八はきょろきょろとあたりを見渡しながら、大江戸マートの袋を置く。全身ずぶ濡れになっているあたり、傘は持っていかなかったのだろう。


「大丈夫ですかね、外ひどい雨ですよ」

「あいつのことだから大丈夫だろ。マウンテンゴリラにはちょうどいいシャワーなんじゃねえの?」


なんて冗談を言っていたら、ピンポーンとタイミングよくインターホンが鳴った。チッ、こんなときに客かよ。ずぶ濡れの新八を出すわけにも行かないので、俺は半ば萎えがちに玄関へと向かった。

ガラガラガラ……、


「はーい、どちらさ」

「銀時くん遊びに来たよ(桂裏声)」


ピシャッ!

なんか見えた。反射的に閉めちゃったけど別にいいよね、ウン。


「銀時ィィ!貴様なぜ閉めた!」

「そりゃ閉めるだろ、なんかゴキブリみたいな奴見えたもん」

「ゴキブリじゃない、桂だ!」


ドンドンドンと玄関を叩きまくるヅラ。何でこんな雨の日にこんな奴と会わなきゃならねーんだ、気分的に鬱なんて問題じゃねーだろ。


「銀時!早く開けろ!早くしないとリーダーが……」

「うるせーな、神楽なら今いな……」


勢いよく戸を開けて、俺は言葉を詰まらせた。ヅラの背にぐったりとおぶさる見慣れた桜色のお団子頭が、真っ白な顔を青くさせてそこにいたからだ。


「神楽!?」


呼ぶと、まぶたが薄く開いてちらりと青が覗く。一体何があったというのか、神楽の体は新八以上にずぶ濡れだった。


「川で溺れていてな、近付いてみたらリーダーだった」

「おいおいおいマジかよ、たしかにマウンテンゴリラにはシャワーなんじゃねえのとか言ったけど、まさか露天風呂にまで入って来やがったってのか」


とりあえずヅラを家にいれ、ずぶ濡れの神楽を床に寝かせると普段では考えられないぐらい弱り切った声が俺の名を呼んだ。こいつはまずい、だいぶ弱ってる。


「誰か来たんですか……って神楽ちゃん!?」

「おい新八、姉ちゃん呼べ」

「は、はい!」


新八はすぐに電話へと走って行った。







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