流れ星って見たことある?と憎ったらしい沖田に聞かれたから、堂々と「ない!」と答えてやった。そしたらだっせーなんて笑ったもんだから、むかっときてぼかっと殴ったらばこっと蹴られて大喧嘩。銀ちゃんせんせーに怒られて、隣の沖田にべえっと舌を出してやったらあいつはにやりと笑って「ぶさいく。」とか口パクで言いやがって。やっぱりむかつく、あんなやつだいっきらい!


「そんなに怒んなよ、ぶすチャイナ」

「おまえ慰めてるつもりカ?それは慰めてるつもりアルか?」

「まあまあ、悪かったって。おわびに今日の夜、流れ星見にいこうぜィ」

「いくっ!」


自分の目が輝いてるのがわかる。やっぱりこいついいやつかもしれない。いやでもだまされるな私。こんな単純な誘いにだまされちゃだめアル。でも今回だけ、まあいいや。


「じゃあ今日の夜10時にお前ん家に迎えいくから」

「わかったネ!」


あれ、なんでこいつ私のうち知ってるんだろう?なんて、こまかいことは気にしないのヨ、神楽!きらきら、流れ星。もし見れたら何をお願いしようかな、酢昆布いっぱい食べられますように、にしようかな。


「楽しみアル〜」

「何にやけてんの神楽、きもちわる」

「兄ちゃんには関係ないことヨ!」


わくわくと膨らむ期待を胸に、部屋にこもってタンスをあけた。あ、そういえば何着て行こう。ショーパンがいいかな、サルエルがいいかな、それともスカート履くべき?
ぐるぐる、沖田はどんな服が好きなんだろ。なんて考えながらひとりファッションショー。雑誌まで広げちゃう始末。でも先々月ぐらいのやつだから、ちょっと季節はずれかもしれない。


(うーん、Tシャツにサルエルでいいかな?)


ぼんやりと沖田の顔を思い浮かべる。眉間を寄せながら「色気ねえな〜」とばかにしてくる姿が浮かんだから、Tシャツ+サルエルは却下!
迷ったあげく、白地に薄い水玉模様が入ったブラウスと小花柄のスカートにした。ワンポイントでリボンをつけて、うんかわいい。さすが私。


(あれ、なんで沖田なんかのためにオシャレしてるネ、わたし)


はてなまーくが頭上をぷかぷか。まあいっか、と気をとりなおしてリボンがいっぱいついたバッグを持ったらニーハイ履いて、『ピンポーン』。わあやばいもう10時だった!いそいで髪の毛ととのえていそいで携帯とお財布つっこんでつまんなそうにテレビ見てる兄ちゃんの横を全力で走っていそいで玄関あけたら、なんか超かっこいい美男子がそこにいた。


「おき、た?」

「……よォ」


え、なにこれどこのジャ○ーズ?ってぐらいかっこいい沖田は全体的にシンプルな服を見事に着こなしていて大人っぽいっていうか、かっこいい……いやいや違う違う!わたしの見間違いアル!こんなやつかっこいいわけ……、あっでもやっぱむかつくかっこいい!


「……じゃ、行きやしょーかね」


なんで敬語?


「う、うん……」


なんかドキドキふわふわする。変なの、沖田なのに沖田じゃないみたい。


「……流れ星、見れたらいいねィ」

「そう、ネ」


神様たすけて!流れ星見るまえに沖田に心臓つぶされそう!



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無自覚片恋ガール

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続きます(笑)




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