AM11:00


「何でここにいんだ、テメーは」

「おうトッシー。お邪魔してますヨ」


朝から酷く暇すぎて、気が付けばふらふらと真選組の屯所まで来ていた。ここはウチと違ってエアーコンプレックス、略してエアコンが効いていて涼しい。数日前、引ったくりを捕まえてここに足を運んだときに知った。


「エアーコンプレックス、最高アル」

「エアーコンディショナーな」

「エアーコンクリート素晴らしいネ」

「エアーコンディショナーな」

「エアウェイブ・ザ・コントラスト、」

「うるせエエエ!もういいだろ!エアーコンディショナーな!」


朝っぱらからご機嫌ななめ45度のトッシー。低血圧なのかな。


「ご機嫌ななめ45度って何だよ何もうまくねーよ。つーか今11時だろーが、何が朝っぱらだ」

「人の心読むなんて最低!親知らず!」

「恥知らずな。とりあえず出ていけ」

「嫌ヨ!一般ピープルが暑さで溶けてドロドロのソフトクリームみたいになってもいいアルカ!コーンから染み出てきて手とかベタベタになってもいいアルカ!」

「オメーどんだけソフトクリーム食うの下手なんだよ」

「ソフトクリームなんてチャラついたもんに興味ないネ。冷凍庫の氷でヨロシ」

「万事屋の経済状況に同情するわ」


小さく息を吐いて、トッシーは半ば諦めたらしく縁側に座ると煙草に火をつけた。煙たい、と文句を言っても無視される。いらいらする。いらいらしたからその背中にタックルしてみた。

ドゴッ


「んごぉぉ!?」

「あ。」


完全に無防備だったトッシーは容易く吹っ飛び、中庭の茂みに突っ込んでしまった。やば、と思ったときにはすでに手遅れ、鋭い眼光がギロリと睨みつける。


「テメー……」

「あ、用事を思い出したアル。それじゃ、」

「調子に乗んなクソガキがァァ!」


鬼の副長たる所以を象徴するかのような形相でバタバタと追いかけてくるトッシーを尻目に私は全速力で逃げ出した。おー怖い怖い。
屯所内リアル鬼ごっこを繰り広げていた途中、すれ違ったジミーがなんだか目を細めて、

「今日も平和だなあ……」

としみじみ呟いたとか、そうでもないとか。


「待ちやがれェェ!糞チャイナ娘がァァ!」

「おとなげない男アル」


なんでもない、そんな朝のお話し。





.110724




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