糞女、と呟いてみたがこいつは間抜けな顔を晒して爆睡こきやがって一向に目を開けようとしない。おいふざけんな糞女。ここを何処だとわきまえる。サディスティック界のプリンスたる俺、沖田総悟様の部屋だぞ。ちなみに布団の上だぞ。俺は真横にいるんだぞ。昼寝から起きたらこいつの顔が目の前にあったんだぞ。焦っちゃったぞ。ちょっと興奮しちゃったぞ。

(……じゃねーよ。どうする俺、この状況)

土方さんと山崎は巡回、近藤さんは姐さん宅にストーキング中。俺の腕に絡み付いて爆睡していやがる糞女は一切起きる気配がない。いやあ困った困った。俺の理性リミッターが外れかかっているようだ。スリットの入ったチャイナ服からは白い生足がチラリズム、俺の鼻血もチラリズム。

(生き地獄、まさに生き地獄だぜィ)

もはやこのようなオイシイ状況下において手も足も出せない自分を呪うばかりだ。いや出せないわけじゃないぞ、俺はやれば出来る子だ、俺はヤれば出来る子なんだ。そうだもう食っちまおう。今か今かと出番を待ちに待ち侘びて数年、財布に忍ばせたラブ・アイテムをようやく活用するときが来た。

(さあて、どう料理してくれようか)

ふふふ、と笑いつつ白い太股を撫でる。「ん……」と色っぽく息を漏らすチャイナに俺の心臓はどきどきムラムラむしろただのムラムラやばいやばい鼻血鼻血!
もはやチラリズムどころではない鼻血の量に自分のヘタレさを呪った。それにしてもこの量はやばい。ちょっと拭いてこよ。そう考え、チャイナを起こさないようにゆっくりゆっくり立ち上がる。(頑張れ俺!)なんやかんやで無事に立ち上がり、ティッシュを探すべくチャイナに背を向けた。

──がしっ。

「……え」

突如、背中に暖かい感触。恐る恐る振り向いてみれば寝ていたはずのチャイナが俺の腰にぴったりと引っ付いていた。うをををを俺いま抱き着かれてる!?と理解した瞬間に噴き出した鼻血の勢いたるやナイアガラの滝のそれに匹敵する。もしかしてチャイナも実は起きててムラムラしてたのか、じれったくて直接アピールしに来たのか、それはすまなかったチャイナ娘!今すぐ俺と愛のアバンチュ、

「おい糞天パ……」


ん?天パ?


「……てめっ、私の酢昆布食ってんじゃねエエエ!!」
「お、おまっ、なに寝ぼけて、ぐふううっ!!」

どごーん!

まるで夢遊病患者。完全に寝ぼけているチャイナは俺の腹部を抱いたまま海老反りに翻り、いわゆるバックドロップをくらった俺は意識を闇に手放した。我が人生に一片の悔いなし。遺言も特になし。しいて言うならば、そうだな。

「チャイナ死ね」


.110918