「グレイ!服っ!」
「あ」

本人も今気づいたらしい。少し目を離したすきにまたシャツを脱いでるグレイ。脱ぎ癖なおせって何度も言ってるのに。公共の面前にもかかわらず全裸になりかねない彼氏を持つことにはもう慣れた。それに今日は気温が高いから気持ちが分からないこともない。

「私も脱ぎたい」
「駄目に決まってんだろ!」

そう口にするとグレイが血相変えて私を見る。やだなー本気でするわけないのに。グレイじゃあるまいし。

「でも今ならグレイの気持ちがちょっとは分かる気がする。暑い」

あ、でもグレイは暑くなくても脱ぐよね。暑いと脱ぎたくなるのは人間の本能であって、しかも口に出しても実際に実行はしない。普通でしょ。暑くもないのに脱ぐ人はただの変態。ここがボーダーライン。

「つーかお前はもっと服着ろよ。肌見えすぎ」
「あんたが言うな」
「俺はいいんだよ」
「…理不尽な」
「とりあえず肩と腹と足を出すな」

言いながら今着直したところなのに、再びシャツを脱ぎ出すグレイ。また脱ぐのかよなんて思って、呆れて見ていたら、ふわっと熱気に包まれた。なんで私に羽織らせる?

「え、暑いんだけど」
「着とけ」
「なんでよ」
「あんま他の奴に見せてんじゃねーよ」

チューブトップのせいで露出していた肩にさっきまでグレイが着ていた半袖のシャツを掛けられて、ほんのりグレイの匂いがする。

別にいまさら私がどんな服着ていようと、誰も気にしないし興味ないだろうに。そうぼやいたのが聞こえたらしく、上半身裸のグレイにジロリと睨まれた。

「じゃあグレイが裸になるじゃん」
「だから俺はいいんだよ」
「やだよ。ジュビアが興奮するから見せたくない」

これは本心だ。…うん、やっぱり恋人が自分以外の奴に見られてるのっていい気しないよね。お互い様だと思うと、バカップルな自分たちに、半分呆れて半分照れくさくなった。

じゃあさ…、とグレイが少し考える素振りをして、真面目な顔で言った。

「涼しくて、人目気にせず脱げるとこ、行く?」

行かないしばーか。
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