end
* * *
俺たちは精液吸ったティッシュの残骸を周りに散らしながら、まっぱで眠っていた。
そして、朝、人の気配で、目が覚めた。
寝室の入り口に呆然と立っていたのは、黒髪美女のくの一さん…
「紅…」
「アスマ…」
間抜けにお互いの名を呼び合い硬直していると、むっくり金の髪の少年が起きあがった。
ナルトは眠そうに目をこすりながらベッドから下り、放心する紅の横を通り過ぎ、昨夜居間に干しておいた服を着始めた。
「おはよ、紅先生、アスマ先生!泊めてくれてありがとうってば!」
笑顔でそう言って、奴は去っていった。
翌日から、何事も無かったように振る舞うナルトに、俺は半ば裏切られた気分だった。
あいつにとって、あの夜はなんでもない、いつもの夜。
カカシの代わりだったあの中忍の、更に代わりに過ぎなかった俺。
いや寧ろ、カカシすら、あいつにとっては何かの代わりに過ぎないのかも知れない。
あいつの闇に踏み込むのは怖かった。
だから、俺はこの想いを封じた。
『ナルト…あれは昔の話だ。しかも酔った上での過ちだ。
俺はお前を愛してねぇ』
大人ってのは、大嘘つきだよ、全くな。
誰か、
俺じゃない誰か、
人に裏切られ、川に身を投げ人魚となったあいつに、
いつか真実の愛ってやつを、教えてやってくれ。
そしてもう一度、
人間に戻してやってくれ。
願わくば―――
end
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