end









一方、落下した男は空高くを見上げ、片目を瞑っていた。

「あーあ、まーたあそこまで昇らなきゃだな。油断したー…ま、相手は風影だもんね、簡単にはいかないか」

カカシは地面に仰向けで寝そべりながら、しばらくは青空に魅入られていた。

砂漠の空は妙に爽快だなと、この男は場違いにも感心していたのだ。

「だけど、あの子の瞳の色じゃない」

あの子はいつだって、泣きそうな瞳だったもんなぁ、と、口の中で呟いたときだった。

目の前が暗くなったのを感じたカカシは硬直したまま、視線だけを少しずらした。






見えたのは、





金の髪と、






碧の瞳。






それは枕元に立つご先祖様、ではなく、間違いなく彼が探し求めた、たった一つの存在だった。



「ナル…ト…」

「あんた、弱くなったんじゃねーの?」


妙に、懐かしい口調だった。

もう何年も聞いていなかったように、彼には思えた。

そしてやっとの思いで、カカシは口を開くことに成功した。



「お前…記憶が…っていうか、どしてここに…?」

「わりーかよ?」


少し頬を染めた少年の瞳は、潤んでいるように、カカシの目には映った。


「悪くない。全然。だけど…」


「あんた、言ったじゃん?」


ナルトは、ポケットに手を突っ込んだまま、空を見上げた。


カカシはナルトの顎を見つめたまま、じっと次の言葉を待っていた。




「あいのうた…」








『…あのさ、悪いんだけど。俺、恋とか愛とか、わかんねぇ』

『うん、俺が教えるよ』











「…教えて、せんせい」





カカシは起き上がって、ナルトと視線を合わせた。

少し照れたような、拗ねたような、懐かしいその表情をまっすぐ見据えて、彼は微笑んだ。




「一生掛けて、教えます」


っていうか、教えさせてください。


そう言って頭を下げた男に、ナルトは吹き出した。








「あんたってホント、バカみてー」

「ナルトはホント、口が悪い」

















泡になんてならないで


もう一度だけ


信じてみてね






そして一緒にさ




うたおうよ




あいのうた



















人魚姫=end=

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