02




ここ数日間で、ナルトの精神年齢はおそらく三歳ほど上がったように思えた。

初めは本当に幼児のようで、以前に会ったときの面影が全くないことに戸惑ったが、面倒見の良い我愛羅の姉兄達が、ナルトに相当世話をやいていた。

退屈しないように本を与えたり、人形を貸したり。

その甲斐あってか、言葉はかなり覚えたし、精神も安定しているようだった。

しかし、何よりナルトにとって大きかったのは、ここが木の葉隠れの里ではないこと、我愛羅が己と同じ身の上であることだった。

『ここは、誰もお前を責めないし、誰もお前を知らない。だから安心しろ』

記憶を失った(というより、時間が戻ってしまった)がため、ナルトにとっては初めて会った風影の言葉は、彼の心に大きな安堵感を与えた。

そして今では長年の責め苦であった“あの行為”を求めることなく、精神を保てるようにまで、癒されているように思えた。


ただ一つの問題を除いては。


「寂しそうだな…」

ナルトは我愛羅に視線を向けた。

「そんなことないってば」

口元は微笑んでいたが、その瞳はガラス玉のようだった。

我愛羅の知る彼の瞳は、いつだって光に揺れ動くオアシスの水面の色、の筈だった。

「うちはイタチに会いたいか?」

「…」








『うずまきナルトは砂隠れで身を預かる。火影とそう盟約を結んだ』

そう言って、あの男からナルトの身を引き離したのは他でもない自分だった筈で、それを後悔などしてはいないが、やはり良かったともまだ言えないが故に、ことあるごとにそう尋ねてしまうのだった。

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