02
「…だけどね、それでもね、身勝手で傲慢だけどね、俺は…お前に生きてて欲しいんだよ」
銀の髪のお兄ちゃんは、苦しそうにそう言ってくれた。
「ナルト、行くなよ。お前は、木の葉に居てくれ。いつか、俺が迎えに行くときまで…」
イタチ兄ちゃんに似てるお兄ちゃんも悲しそう…
みんな、みんな、おれを見る目が…悲しそう。
だから、イタ兄ちゃんの長い服の中に隠れた。
「…ナルト君、さあ、行こう」
イタ兄ちゃんの声に「うん」って答えようとしたら…
「ナルト…!」
大きな声がした。
だからちょっとだけ、顔を出してみた。
銀色の髪がキラキラしたお兄ちゃんだった。
「俺が…ちゃんとお前に教えるから…」
「…」
「俺は、お前が…」
「ごめなさい―――」
「ナル…ト…」
ごめんなさい―――
おれはイタ兄ちゃんと行くの。
もう、いいんだ。
もうね、声が出ないんだ。
嬉しいときも悲しいときも、同じようにしかうたえない。
「これが、答えです」
イタチ兄ちゃんの声がしたとたん、煙がぼあってなって
そして自分は、いなくなった。
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