02
「ナルト君は幼い頃、幾人もの忍から、性的虐待を繰り返されていた」
俺たちは、
なんとなく、その事実を察していた。
それでも、はっきり言葉に出されると
胸が張り裂けそうなほどに、
痛かった。
「当時、火影の用意したアパートに一人で居ることの多かったナルト君には、数人の見張り役の忍が付けられていた。そしてその見張り達こそが、代わる代わるナルト君を―――」
たとえばさ、
俺があの頃、もっとお前に関心を抱いて居たら。
そうしたら、
何かが、変わっていただろうか…
「けれど、ただ虐待するだけに飽きたらず、彼らはナルト君の目の前に四代目の写真を置き、それに対して懺悔をさせながら、輪姦していたそうだ」
耳を塞いでしまいたかったのは、俺だけじゃないと思う。
溢れ出でるチャクラを止められず、俺は思いっきり、地を砕いた。
サスケは、血が出るほど、唇を噛みしめていた。
シカマルやアスマは、ただ呆然と、川辺で遊ぶナルトを見つめていた。
ゲンマは、たぶんいつもの如くの無表情で、やっぱりナルトを見つめているんだろう。
「そうしてある日、そのうちの一人がナルト君に執着を抱き、彼を独り占めにしたいが為に、他の男達を殺した」
イタチの言葉に、サスケの表情が憎悪に歪んだ。
「けれど、その事実は九尾の暴走として片付けられ、事実は闇に葬られた。
結果、ナルト君に対する里の者達の印象は悪化した。上忍含む忍4人をも惨殺した少年として、彼には更なるレッテルが貼られたのだ」
「おい、なんでそんなことになったんだよ。その噂なら俺も聞いたこと位はあるが…」
アスマの問いに、イタチは淡々と語った。
「勿論、厳しい戒口令が敷かれたが、それでも噂は強かだった。人伝いに渡り巡り、恐怖と憎悪は増幅された。
そもそも、何故そのように事件がもみ消されたのか?
ナルト君の目の前で四人を惨殺した男が他でもない、警務部隊に属していたうちは一族の者だったからだ」
嘲るような口調とは裏腹に、その瞳には赤い憎悪の印が浮かんでいた。
そしてそれは、サスケも同じだった。
「…だから、一族皆殺しにしたわけ?」
「それはまた別の話だ」
嘘吐き。
「イタチは…ナルトが好きなの?」
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