04
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「あんた、まだいたわけ?」
振ってきたのは、冷たい声と、頭痛。
目を開けると、俺の頭を片足で踏みつける女王様―――否、ナルト様。
外ではチュンチュンと呑気な鳥のさえずり。
どうやら、朝らしい。
「おかえり、とりあえずさ、段ボールで窓塞いでおいたよ。ガラスの破片も片付けたし」
笑顔でそう言うと、ナルトは呆れ顔。
ああ、呆れた顔も可愛いなぁ。
「一体、この二年であんたに何があったんだよ?キャラ変わってねーか?」
「んー…気付いたんだよね」
首を傾げて、腕を組むナルトは、不機嫌面で先を促した。
「俺さ、モテるからセックス相手に不自由したことないし、来るもの拒まずでずーっといい加減にやってきて、たくさん女の子泣かしたんだ。
なんでこうなのかなって…自分のことながら不思議だった。
恋ってなにそれ〜?みたいな。
んで、ナルトが居なくなって分かった。
お前とセックスしてから、俺の体がお前ばっかり求めてたのは…
ナルトが、俺の最後の人だったからなんだって」
そして、愛しい金の少年を見上げた。
そこには、酷く困惑した君の顔。
それはまるで、初めて未知のモノを見つけた、子供みたいな。
「俺の恋心は、卵のままお前を待ってたんだよ。お前を抱いて、初めて卵から孵ったんだ」
俺は自然に溢れる微笑で、ナルトを見つめてた。
すると、ナルトはポケットから、煙草とライターを取り出した。
慣れた手つきで、咥えて火を点ける。
やっぱり吸うんだなー、と思った。
匂いはいつも完璧に消してたけど、なんとなーく、指を見て気付いてた。
煙を大きく吐いたあと、片手で額を抑えて俯く。
「…あのさ、悪いんだけど。俺、恋とか愛とか、わかんねぇ」
「うん、俺が教えるよ」
「―――…っ!」
ナルトは俺を睨みつけて、怒鳴った。
「いい加減にしろよ!うぜぇんだよ!俺には…んなもん必要ない!早く…とっとと失せろ!」
そして少年は、酷く傷ついた顔で、俺を部屋から、追いやった。
触れると壊れそうなほど、痛そうな顔で。
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