02
「悪いけど俺、ガキ相手でも引かねーよ。
なんせ、生まれて初めて本気で手に入れたいって思ったんだからね」
「そりゃ上等。あいつだってそうだろうよ」
にやりと笑って、アスマは俺の肩を叩いた。
その夜、俺はナルトの部屋を訪れた。
二年ぶりに…
ちゃんと、告白ってヤツをするために、俺は礼儀正しく、インターホンを鳴らした。
当然だって?いや、俺にしたら初めてのこと。
―――そして、扉が、開くと。
そこには、愛しい君が居て。
風呂上がりなのか、輝く金の髪は濡れてて、肌は少し火照ってて、微かに香る甘い香り…
―――大きな瞳は変わらない、空の色。
ねえ、ナルト、お前は確かに、悪魔の子なのかもしれない。
だけど、君の魂を映すその瞳にはね、ちっとも汚れなんて無いんだ。
どんなに肉欲に溺れても、その舌が甘い猛毒を吐こうとも…
俺のこの目に映る君は、清廉で、無垢で、誰より気高い。
俺は呆然と、その姿を見つめることしか出来なかった。
言葉がね、喉の辺りで迷子になってしまったみたいだ。
「先生、どうしたってばよ?」
少し低くなったけど、確かにナルトの声。
「中入れば?」
無機質で冷たいけど、甘い声。
「そういや、彼女は出来た?そろそろ結婚考えなきゃヤバくない?」
結婚なんて、有り得ない。
俺は、お前が居てくれる人生さえあれば、それでいい。
そう思った瞬間、体が勝手に動いた。
そんで、口も勝手に動いた。
「俺はお前しか要らない…」
だけどナルトは、迷惑そうに、俺を押しのけた。
「あがるならとっととあがれよ。どーせ、ヤリにきたんだろ?」
違うんだ、俺は真剣に、お前を愛したいだけなんだ。
そう言いたかったけど、伝えたかったけど、今までいい加減な恋愛しかしてこなかったツケなのか、俺はどうしていいか分からず、ただ、ナルトを抱き締めた。
「ホントに、お前しか要らないんだ」
ああ、今の俺、国語力が、一気に低下したみたい。
伝えたい想いは山ほどあるのに…
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