02
「惚れたのは俺の便利な穴に、だ」
「…さあ、どうかな」
そう言って笑うのは、憎らしいオトナの男。
ああ、なんか、体落ち着いたらバカらしくなってきた。
そう思った瞬間、何かが振動する音が鳴り響いた。
「なんだぁ?」
「ああ、俺の携帯」
俺は床に脱ぎ捨てた衣服のポケットから、携帯を取り出した。
「近頃のガキは小生意気だな、おい」
「こんくらいで生意気とかいうゲン兄はおっさんだな」
おう、ばりばり三十路だかんな、と、俺の嫌味を軽く受け流す堪えないお人。
そう呆れながら液晶画面を見ると…
−メール1件−
内容を見て、俺はため息が出た。
「カブトか…」
ゲン兄はその単語に目を見開いた。
「おい、カブトって…まさか薬師カブトか?」
そうだけど、と言いながら、俺はメールを打つ。
「なんでヤツがお前の携帯に連絡寄越すんだよ?」
「エロ仙人との旅の途中で一悶着あってさ。
最初あいつ、俺を殺す気だったらしいけど、やり合ってたら今度は俺が欲しいとか言ってきてさ。
丁度いいから、セックスの代償に向こうの情報流すってことで契約結んだわけ」
「………んで、木の葉に戻ったお前になんて言ってきたんだ?」
「なんかもう用もないからさ、最近放置してたら拗ねやがったらしい。どうしても会いたいってしつけーんだよ。
アイツかなりマニアックで、前にヤった時なんて、首輪に猿ぐつわに手錠だぜ?
あん時は疼いて仕方なかったから付き合ってやったけどよ。流石にもう勘弁と思ったね」
「…」
ゲン兄が絶句するのを尻目に、俺はメールを送信した。
仕方ないから、もう一度くらい、遊んでやるよ。
カブト兄ちゃん。
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