ナルト視点






サスケが去ってから、二年弱。

エロ仙人との放蕩の旅から戻った俺の部屋に、真っ先に夜這いに来たのは、カカシだった。


昔はいつも窓から入って来た癖に、何故かご丁寧に玄関から来訪。

しかもドアを開けると、神妙な顔でつったったまま固まってるもんだから、マネキンかと思ったぜ。



「先生、どうしたってばよ?」

「…」

イライラ…

「中入れば?」

「………」

イラッイラッ…

「そういや、彼女は出来た?そろそろ結婚考えなきゃヤバくない?」

苦笑して話題を振ると、その男は急に、





―――俺を抱き締めた。






「俺はお前しか要らない…」



激しく強く、耳元で、はっきり伝えられた言葉。

「…いきなりなに?」

俺はそう言って、この長身を押しのけた。



「あがるならとっととあがれよ。
どーせヤリにきたんだろ?」


俺は冷たく言い放って、居間へ向かって踵を返した。


すると、今度は後ろから抱き締められて、息が詰まった。




…いや、単純に息が苦しくてね。




「ホントに、お前しか要らないんだ…」




おいこら、変な薬にでも手ぇ出したか?



「俺、子供産めねーよ?」

笑って茶化しながら振り向くと、その唇を塞がれた。

いきなし、激しいベロちゅう。

そんで、そのままベッドまでもつれ、倒れ込んだ。


そうして初めて、俺はこの男の表情に気づいたんだ。








―――なんだよ、コレ?





その男の表情は、俺の持つ言葉では説明できないくらいの…




必死?

せっぱ詰まった?

溺れる子供?




とにかく、それは見たこともない、ヒトの表情だったんだ。



眉間に皺寄せて、いまにも泣きそうな瞳は、真っ直ぐに俺の目を、痛いほどに突き刺して…








「ナルト…

―――会いたかった…!」




「…」



その、あまりに直情的な声音に、俺は頭の中が、真っ白になった。




だから、その男を押しのけ、窓を突き破って、俺は逃げた。






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