EXTRA | ナノ
書かないけど指定されたキャラで冒頭一文だけ創作する
米屋
もし死ぬなら陽介のための黒トリガーになるねと彼女が笑ったあの不謹慎な冗談におれはなんといって返したんだっけ。言葉通りおれのためだけのトリガーへと姿を変えた彼女は何も言わずにてのひらにたたずむだけで答えを返してはくれない。死んでも一緒にいるからね、甘やかなその言葉は生々しく脳裏を焼いた。

犬飼
抱き寄せる腕は強く、手加減がない。「オレにすればいいじゃん」何度となく繰り返されたはずのその言葉は彼には似合わない必死さで満ちていた。 見えないはずの犬飼の顔がこわばったように笑うのが分かる。「オレで、いいじゃん」冗談でなければいけないはずの言葉が本気だってこと、私はいつから分かってた?

辻くん
つらつらと語られる思いの丈は今まで聞いたことがないくらい饒舌だった。目を丸くすることができない私にのしかかった彼はひどく熱っぽい目で私を見た。嫌なら止めてくださいというくせに辻くんは私が受け入れないことを考えていないようだ。繋がった手のひらに滲んだ汗はどっちのものなのか。

マダラさん
少しでも力を籠めれば折れそうな女の指が自分の頬を撫でるのを抵抗もできずに受け入れる。にんまりと弧を描く赤いくちびるが自分の名を呼んだ。煩わしいその声を止めさせるためにそのくちびるをふさいでも女の笑い声は耳に響く。胸を急き立てるようなその感情にきっと一生名はつかないだろう。

及川
別にこいつの泣く顔が見たくてそんなことを言ったわけじゃなかった。それなのにこいつはすぐに泣く。理由もなく手をつなげていたころの俺ならすぐに泣き止ませられたのに今の俺はこいつが泣いている理由も分からない。変わってしまったものはなんだったのだろう。

長谷部
幸せになってほしいのだという主の言葉は不自然なほど穏やかさを含んでいたのを覚えている。あなたと過ごす日々そのものが幸せだったのだと告げられたら何か変わっていたのか、気が狂いそうなほどその問いを繰り返したのは主が己ではない刀剣を連れてすべてを捨てていったあとだ。答えはいまだでない。

唐沢さん
ほとんど成功する確率の低い賭けのような気分でしたことだった。それなのにこんなにもうまくいっていいのだろうかとぼんやりと思う私に彼がささやく。「最初からこのつもりだったって言ったらどうします?」笑う彼に感じるのはずっとこの人に勝てない予感で、それはとても幸せな予感だった。

迅悠一
私には幸せになってほしいのだという彼の言葉は優しく愛情に満ちていた。続けて言葉にされた私の未来は幸福そのもので何よりも口にしている迅さんが一番幸せそうだった。だから私は何も言えない。その未来は彼と一緒に歩むことを前提していないことぐらい気づいているのに。

沖田
いっそ馬鹿にしてくれればよかったのかもしれない。だけど彼にはいつものようにからかう様子もなく、ただただ私の手をそっと握るばかりだ。ひどい顔してやがると私の顔を見て囁かれた言葉があまりにも優しいので私はすがることしかできない。彼の優しさの理由なんて本当はずっと前から知っていた。

二宮
不毛なことが嫌いだった。なのになぜこの女と付き合っているのか自分でも理解できない。付き合う前から分かっていたことだが目の前の子の女は不毛なことを繰り返すし、他人にも、もちろん俺にもそれを求める。だがこの女が笑うとそれでいいと思えてしまうのだ。そう思えてしまうことが嫌だと感じないのが何より不思議だった。

本田とアーサー
女を殴りつけると這って逃げようとしたので地面に伸びた細い腕を踏みつけた。動くこともできずに呻くその姿は豚のようだ。その醜悪さを受け入れられるのは己しかいないのだから素直に従っていればいいものを反抗するからこうなる。すがるように延ばされた腕が誰に伸ばされたものだったのかなど知りたくもない。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -