03

バタバタと走って自室に向かうキッドにキラーが何事かと尋ねると、キッドは己のコートに包まれたまま生と死の狭間に居る黒猫を無言で見せた。
キラーの的確な指示ものと、怪我の治療を済ませ、保温する。




「怪我はそんなに酷くないが、体温が低すぎる。目が覚めるまで暖めた方が良いだろうな」
「元天使は何でも知ってるってか?」
「キッド・・・」
「悪ぃ、冗談だ。前に人間界で買ってきた飲み物の空ペットボトル残ってるか?」
「・・・残っているが・・・あぁ、成る程。お湯入れてくるから適当な場所に寝かせとけ」



そういうが早いか駆け出して行くキラーを見送り、キッドは部屋をぐるりと見渡す。
長方形で浅目のカゴを見つけ、そこにバスタオルを3枚程くしゃくしゃにして敷く。
ベッドから枕とお揃いの深紅のクッションを取ると、バスタオルの上に乗せ、起こさないように黒猫を寝かした。
キッドの予想通り、羽毛のクッションは黒猫の身体が深く沈んでいる。





熱めのお湯を入れたペットボトルをタオルで巻きながら帰ってきたキラーはクッションの隙間にボトルを入れて行く。

「まぁ、これで大丈夫だろう」

そう言いながら、もこもこ生地のバスタオルを二つ折にして黒猫に掛ける。

「湯がぬるくなったら取り変えてくれ。それぐらいできるだろう?」
「誰にモノ言ってやがる。煉獄の王をなめんな?」
「・・・違いない。ソイツ起きたら使い魔で知らせでくれ」
「分かった、じゃぁな」


キラーを見送って、少し様子を見ていた。全く起きる気配はない。
ぐったりとクッションに身体を預けている眠る姿を薄暗い明りの中で眺めて初めて気付く。
黒猫かと思っていたが、毛並みが少し青い。




「・・・烏の濡れ羽色・・・」







無意識に撫でていたが、その温かさに酷く安心する自分がいた。






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