02

――俺が黒猫を拾ったのは只の気まぐれだった。







10月に入って地獄・煉獄・辺獄中の悪魔共が指折り数えて10月31日を待っている。

――ハロウィンを待っている。

年に一回の人間界との交流に楽しみにしている可愛い悪魔も居れば、喰らってやろうという悪魔も勿論居るわけで。
煉獄を統べている俺、ユースタス・キッドの悩みの種である。

人間もハロウィンを楽しんでいるようで、ジャック・オ・ランタンやらを作っている。
そんな警戒心がない街に上級悪魔が向かったと、腹心の堕天使が連絡に来た。

「キラー、行ったの何処の悪魔だ?」
「残念ながら煉獄の・・・だ。キッド、頼めるか?」
「あいよー・・・面倒くせぇことしやがって。消して良いんだろ?」
「あぁ。煉獄でも問題児だ、別に構わない」
「場所は?」
「これに書いてある。持って行け」
「んじゃ行ってくる」
「気をつけて行って来い」


煉獄から人間界に移動しながら渡されたメモを見る。
そこに記された街に向かうと、一面雪景色だった。
思わずポカンとしていたら、早速同族の気配がしたので向かって行く。

やっと見つけた気配がする家に入ったら、相手は食事をする直前で。
あぁ、若い女が好物だったか・・・と舌打ちをすると悪魔だけを紅い炎で焼き殺し、女を抱き上げるとベッドに寝かす。序でに記憶の削除も忘れずに。

――厄介事が終わった、と伸びをしながら家を出る。
ふと横を見たら屋根の雪が落ちたであろう箇所があった。
それはすでに溶けかけていて、隙間から黒と赤が見える。

「何だ・・・?」

少し固くなった雪を両手で退かしていくと、血まみれの黒猫が出てきた。
普段なら捨て置くキッドだが、少し覗いている太陽の光に照らされている黒猫を自分の着ていたコートに包んで腕に抱えると、一目散に煉獄に帰って行った。

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