04

【10月6日】

あれからブラブラと街を歩き、喉が渇いたとカフェに寄り、またブラブラと歩き。
これは所謂デートってやつではないかと自覚したら、一気に顔に熱が集まった。
風邪でもひいたかと覗きこむユースタス屋がいつになく真面目な顔をしていて、聞こえるんじゃないかというくらい心臓が煩くて。
暗くなって良い時間だから、とホテルに連れてこられた。
モーテルや安宿じゃなく、だからって最高級ホテルでもないから肩肘張ってなくて少し安心した。何よりユースタス屋らしい。
それでも上階から数えたほうが早い位置にある部屋で、夕食後に洋酒なんて開けていた。夕食と言っても簡単なもんじゃなくってコースだった。億越えの賞金首だったから勿論部屋で、だったが。
飲み始めてからは会話なんてポツリポツリとする程度。弾むでもなく・・・それでも無言の空間は居心地が良かった。

「誕生日おめでとう」
「・・・っ!あ、ありがと…」

色々と考えてたのか、ユースタス屋の声に我に返って顔を上げる。見たこともないような穏やかな顔だったので、思わずどもってしまった。
気恥ずかしくなって目を逸らしたらくぐもった笑いが聞こえてきた。

「可愛いな、テメェ・・・」
「可愛いとか言うな、気持ち悪ぃ」

「男が可愛いとかまず無いから」と断言したら移動してきたユースタス屋の膝上に乗せられてしまった。
あわててジタバタしたら思い切り抱きしめられて思考が固まる。
大人しくなったなぁと額にキスをひとつ。そしてお姫様抱っこでベッドに連れて行かれた。

「擽ってぇって・・・!ん、何?」
「プレゼント」

ほれ、とすこぶる軽い態度で渡されたソレは手の平サイズな長方形の箱だった。
開けてみろと言われて蓋を開けたら万年筆が入っていた。

「へぇ、良い趣味だな」
「うちの船医が愛用してるとこのだ。カルテ書くのに楽だっつっててな」

箱から取り出してふと気付いた。小さく俺んとこのジョリー・ロジャーが彫ってあった。
控えめ過ぎなそれは、キャップを取る瞬間にやっと気付いたくらいだ。
俺の視線に気づいたユースタス屋はバツの悪そうな顔をしつつ、思いつきだと言う。

「ユースタス屋が彫ったんだ?」
「んー、暇だったから?」
「ふーん・・・?」
「テメェもう黙れっ・・・!」

自分の頭と負けず劣らず顔を真っ赤にしたユースタス屋に唇を奪われて何も言えなくなってしまった。
多分俺も真っ赤だったと思う。
深いキスの合間にも「おめでとう」と言ってくるユースタス屋に「うん」としか答えられなかった。



「来年も、祝わせろよ・・・」
「うん…楽しみにしてる・・・」






happy Birthday*TRAFALGAR・LAW!


あとがき
何とか書き上がりました・・・(゜ー゜;)
4話目だけが間に合わず・・・申し訳ないですorz


2011.10.05-07

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