03

【10月5日】

片付けの疲れがあったのか、ソファで行き倒れたみたいになって眠っていた。時計を見たら昼過ぎ。
喉が渇いたので、固まった身体を解しながら食堂へ向かっていたがクルーに会わない。
どの時間でも1人や2人はうろついてるのに珍しい。そう思いながら食堂の扉を開けた。


「キャプテン!!」
「船長!!」

『誕生日おめでとーーーーー!!』


「・・・今日はまだ5日だろ…」
「うん、まだ5日。でもキャプテンにお客さん来てるよー」
「また客か!!今度は誰だ!!」
「俺だ」

声のしたほうに顔を向けたらユースタス屋が居た。昨日といい、何故すんなり敵を乗せるんだ。
額に手を当て、軽く項垂れた。

「お前らは危機感が足りん・・・」
「船長の誕生日だろって言われたら断れないっすよ…」
「・・・おいキッド、持ってきたぞ」

気づいたらキラー屋が樽酒を持って来ていた。
その後ろにはうちのクルーもいて、樽を転がしながら入ってくる。
外を見たらドレッド屋がクルーに樽を渡していた。どんだけ持ってくる気だ。

「なんで樽酒持ってうちに来るんだ。自分の船で飲め」
「何でって…テメェ誕生日だろ。一応手ぶらで来るのもなぁと思ったんだよ」

ヤバイ、ちょっと嬉しいとか思った俺が居た。乙女か。

「でも誕生日は明日だし、樽酒がプレゼントって微妙」
「あぁ、問題ねぇ・・・・・・これから拉致るからなァ」
「は?どういう意味、うぉっ?!!」

突然の浮遊感。
自分が肩に担がれていると気付いた時にはユースタス屋は走り始めていて。

「ユースタス?!キャプテン返せ!!!!」
「ちょ!乾杯も何もしてないっすよぉぉぉぉ?!!」
「昼飯食ってから拉致るって言ってたよな、キラー・・・(怒)」
「・・・キッドが済まない。後で言っておく」
「ペンギン!キラー屋ァ!!何か企んでたのかぁ!!!」

何か不吉な事を聞いた気がする。
というか何時からペンギンはキラー屋を名前で呼び始めた。
複雑な船長心が悶々と湧いてきたが、ユースタス屋のトンデモ発言で吹っ飛んだ。

「・・・誕生日当日は二人っきりだなァ、楽しみだ」
「はぇ?!何言ってんだ、バカスタス屋ぁぁ!」
「黙ってろ舌噛むぞ?」

真っ赤になってるだろう顔で、小さくなる自分の船を見てた。



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