一晩中熱に埋もれて
それはあたかも激流のようで
「あ、あ、あ」
「瑠璃、姫…っ」
薬売りは追い詰めるように瑠璃姫の中心へと己を叩き込む。
屋敷の畳部屋では卑猥な水音と共に布団の衣擦れの音が響く。
「く、すり、っは、あ」
白い人形のような表情に赤い隈取り、妖しい瞳と歪んだ口元。
その全てが欲しくて、
突き上げられる感覚にもう頭の中はとっくに蒸発してしまった。
男は川のような人間だった。
濁流も清流も全てを凌駕して、ゆらゆらと漂い流れてゆく。
けれどどこかその面持ちは、孤独で。
いつか海に流れつくのを望んでいるのか、恐れているのか。
それすらも分からずして、川はひたすらにただあるがままに流れてゆく。
そんな男が愛しくてたまらないなんて、自分はどれほど愚かな人間なのだろう。
結合部から聞こえる水音に羞恥を覚えながら女は憂いを隠せずして、喘ぐ。
「ん、ひ、あ、あ、っは、あ、あ、あ」
声が止まらない。繰り返される律動に伴って甘美で淫猥に沁みる声が漏れる。
「・・・っ、ああああっ」
己が身へ熱い激流の如く、男の欲望が注ぎ込まれるのを、のぼせた頭で思ふ。
そこからはもう糸が切れたようにぷつん、と魂は飛沫をたてて吹き飛んだ。
陸に上げられた哀れ他ならぬ醜き魚のように2人してびくん、びくんと跳ねていた。
恍惚にも見える男の快楽に溺れる、その表情は
何ともいやらしく、美しく、孤高であった。