今は遠きあの日。

『オレは関東大妖怪任侠一家奴良組二代目総大将。お前さん、オレと一緒に来ねぇかい?』

清々しいまでの強引さと、じりじりと肌を刺す存在感に引き上げられたあの日。
恐れと、畏れとに照らされたかのようだった。
照らされて、眼の前が開けていくのを確かに感じていた。
彼の人の強さだけではない勁さに打たれたようだった。
あるいは天啓だと誰かは言うのかもしれない。そしておそらく、間違いでもないのだろう。

彼の人の姿に圧倒され、憧れたのだ。
ただひとりの、妖として。
彼の人の背中に、従いたいと思ったのだ。
ただ、百鬼のひとりとして。
あの日感じた憧憬は、永き時の中で自らを形作るもののひとつであり、今も尚己が内に存在し続けている。
やがていつしかそれは受け継がれて、血を焦がす。





「オレはあんたが気に入っちまった」

それはまるで昔日の中の人を見ているようだった。
懐かしさに駆られそうになりながら、それ以上に血が滾っていくのを感じる。
熱く逆巻くそれを。
いつか感じたその流れを。

「あんた、力をかしちゃくれねーか?」





二代目。貴方だから私は従い、その背中に着いて来たのです。
そしてリクオ様。
貴方が二代目の御子だからでは決してありません。貴方が貴方だから、私は従うのです。

貴方が、貴方であれるただその為に。









この盃に注いではくれまいか。
預けてはくれまいか。
背中という名の信頼を。












(10/01/07)

二代目も首無も捏造万歳です^^というか色々私が楽しいだけですみません。



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