そろそろ来るころだな。 ちら見した腕時計は到着予定時刻から僅かばかり過ぎた時間を示している。 新幹線を降り改札を出てここまで来るのに、だいたいこれくらいかかるだろうと算段した頃合いだ。 と、見えた。向こうも気付いたらしいので、その方向に俺も歩いていく。 「よお健二。久しぶり」 「久しぶりって割には顔会わせてた気がするけど」 「まぁ気にしない気にしない」 直接会うのは久しぶりなのだから、それでいいんだって。相変わらず細っこい背中をばんと叩けば、痛いと抗議が飛んでくる。 あの時は随分と逞しく見えたけれど、過ぎてしまえばいつも同じ健二だ。 そりゃそうか。一晩やそこらで、もやしっこじゃなくなったらそれはどんなホラーだ。怖すぎるだろう。 「って、その前にさ、何か忘れてない?」 「え?あ!これお土産。陣内家の皆さんからのと、こっちが僕から」 「お、さんきゅ。何入ってんのこれ。じゃない!」 「え、違うの?」 お土産は心から感謝するし、陣内家の皆さんからのも素直に嬉しい。 でもさ、迎えてやったんだから最初に他にあるだろ。あー、でも俺の声のかけ方がまずったかなぁ。 健二は分からないらしく、きょとんとしたままで。 …まぁ、なんでもいいか。 「おかえり、健二」 さぁて、向こうで何があったのか詳しく聞かせてもらおうじゃないの。 (09/11/02) ※ブラウザバックでお戻り下さい |