日の短くなり始めた秋口。 夕陽の残光の射し込む部室で健二は佐久間と帰り仕度をしていた。パソコンの電源を全て落とし、コンセントも抜く。 そこにノックが聞こえてきたので返事をすれば、ドアが開いてその先にはすっかり帰る様子の夏希が立っていた。 「良かった。まだ帰ってなくて」 「夏希先輩!?」 「今日生徒会で遅くなるんじゃ」 「それなんだけど、明日になっちゃったの。だからね健二くん。うちにご飯食べに来ない?」 「はい?」 健二が夏希の言ったことを理解するまでに幾分か時間を要した。 既に言葉の通り受け取った佐久間は隣でにやにやと笑っている。 「え、先輩?」 「だって今日も夕飯一人なんでしょ?」 「そうですけど、えぇっ!?」 「うん」 「…えっと、……」 「………」 「………」 「………」 「………」 「………」 沈黙。 やがて赤くなった健二を見て、夏希も赤くなる。 夕陽のせいでは決してない。 それを端から見ていて焦れたのは佐久間である。 「はい、そこの二人。見てるこっちが恥ずかしくなるから、そういうのは俺がいない所でやってくれませんかね?てか、今俺の存在忘れてただろ健二」 「そ、そう言われても。いやごめん。びっくりして」 「私の方こそ。いきなりこんなこと、ごめんね」 「いえ、先輩は悪くないです!」 「だから…あーもう。健二、先輩ん家に行くのか!行かないのか!」 「行きます!…あ…えっと。…ご、ご迷惑じゃなければ」 「ぜ、ぜんぜんっ!」 ああもう本当なんだこれ。 思わずそう呟いた佐久間を知ってか知らずか、二人は照れたように笑っていた。 (09/10/04) 篠原家にお呼ばれして、月に何度か先輩の家でご飯食べたら良いと思いますv ※ブラウザバックでお戻り下さい |