白い真昼の陽光。

ほのかに香る花々の中心に身体を埋めるように仰向けに寝転んだ。
赤いマントが風を受け、ばさばさと靡いている。
空、太陽、月、星、宇宙。
見上げるのは、いつか手を伸ばしたものたちだ。

温かい日射し。
柔らかい土の匂い。
頬を撫でる風。
優しい月光。
太陽を見上げ。
青い空を見上げ。
月を見上げ。
幾千の星を見上げ。
全てを見上げる場所で、全ての中で、俺は生きている。
地上を目指し。
大地を踏みしめ。
月を越え。
宇宙を駆けて。
この目で、この手で、この足で、明日を目指した。


夕映えに空が、だんだんと真っ赤に染まっていく。あの日見たように赤く赤く。
初めて地上に出てきた、始まりのあの日だ。
飛び出し目を開けたあの瞬間、初めて見た地上の風景を今でもしっかり覚えている。
俺を成長させてくれたのはそれからのかけがえのない日々だから。

アニキが、大グレン団のみんなが、ニアが信じてくれた。俺が信じた。
俺自身を、明日を、信じた。
いつだって、どんな時だって。
誰かに与えてもらうものではなくて、自分の力で明日を掴み取るために。
そしてこの先も、ずっとずっとそうして生きていくんだろう。


やがて濃紺へと色を変えた空に、瞬き出すのは数多の星々と丸い月だ。
月と星の名前を知ったのも初めて地上に出てきたあの日だった。

見上げると、思い出す。

この空(そら)の中に、アニキを。
この宇宙(そら)の中に、大グレン団のみんなを。
この天(そら)の中に、君を。
生き続けるみんなを思い出す。
ひとりじゃない。
ふたりでもない。
この背中に、この胸に、みんなが生きている。みんながそこで見ていてくれる。
俺は決してひとりじゃないから、明日を目指せる。

昼は眩しい太陽が。
夜は浮かぶ月と瞬く星が。
大地でこの地球で生きる人々を照らす導きの光だ。
そして、彼ら生きる人々の心の中で、それぞれ生き続けていく誰かを映す癒しの光。
なんて優しい、灯りだろう。



時間が流れ、地平線に一筋の輝きが走った。
夜明けの訪れである。
間も無くして、白んできた空には太陽がその顔を覗かせることだろう。
邪魔になる雲はほとんどなく、快晴となるに違いない。
気持ちのいい夜明けだ。

「今日もきっといい天気になるなぁ、ニア。ブータ」
「ぶぅぶ!」

頭の上の方から聞こえた小さな相棒の返事に頷いて、シモンは身を起こした。
さぁ今日も一日、明日に向かって精一杯生きていこうじゃないか。

世界はこんなにも輝いている。










そらに見える光は、大地を照らす導べの光










(09/10/24)

細かく詰め過ぎて何が言いたかったのか分からんようなりましたorz
エピローグ後のシモンの20年間が幸せだったんだろうということが書きたかったはずなんですが。



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