※学パロです(not 3Z)




ぷかりぷかり、白が流れる。





憂鬱だ。いや違う。面倒だ。
昼休みだというのに気分が重くていけない。5限目が眠たい歴史の授業だからとか、まぁそれもあるが、もっと別な理由だ。
先に屋上に行ってろと言い残し、購買に飲み物を買いに行った桂と坂本の魂胆は分かっている。
それが面倒くさい。ああそうか、億劫というやつだ。
それでも足はちゃんと屋上に向いているのだから、俺ってばエライんじゃないの?
かといって、あいつらの作戦に乗ってやるわけじゃない。俺は悪くない。あいつが勝手に怒っているだけだ。
勢いに任せて、ドアを開けながら思いっきり、

「あーー!!!」

と叫んだら、先客がぎくりと肩を震わしてこっちを向いた。
フェンスに凭れ掛かって、煙草を吸っていたらしい。右手で煙をたてている煙草が見える。
未成年で煙草を吸っちゃいけません、なんて常識こいつにとってあって無いようなものだ。
見慣れてるから別に驚くことでもない。

「…お前かよ」

ああ俺だとも。
見るからに鬱陶しげに歪ませた顔がなんとも言えずムカついたので、わざと近くのフェンスに背を預けて座り込んでやった。気を遣う必要なんてないのだから。

「で、何でお前がいんだよ」
「辰馬が、こんな天気の日には屋上でメシ食おうってさ」
「天気って、…曇天じゃねぇか」

全くだ。快晴でも、気持ちの良い天気でもないのに、何でわざわざ教室から離れた屋上で弁当を食わなきゃなんねぇんだ。
購買から来るなら遠回りにもなる。それだけ昼休みが短くなるっていうのに。
ああ、分かってるさ。あいつらの魂胆はな。でも、そんなものなんて知るか。

「それはてめぇにも言えるだろうが」
「俺はいいんだよ、煙草ふかしたいだけなんだから」
「じゃ、俺もいいんだよ、弁当食いたいだけなんだから」
「ああそうかよ」
「そうだよ」

やっぱりいつものように購買でパンでも買って、教室で食べれば良かったかもしれない。
ぷかりぷかり、白が流れる。
そもそも別にあいつらのいう通りにする必要も義理もないじゃないか。
ぷかりぷかり、白が流れる。
煙草の煙と空を埋め尽くす厚い雲の群れ。
息苦しくない沈黙が答えだった。


「…ヅラがさぁ、弁当持ってくるって」

「………だし巻き卵は入ってんだろうな」



素直じゃないのは、果たしてどちらだったのか。














「んなこと知るか!」
「ああん?確かめとけや、この天パ!」
「おんしら、何またケンカしちょうか」
「「こいつに言え!」」
「静かにしろ。黙らんやつは弁当抜きだ」
「「…すみませんでした」」
「あっはっはー」










(09/09/01)

喧嘩してた銀さんと高杉。
仲直りは桂作のお弁当で。



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