青い空だ。
いつからか灰色にしか視えなくなってしまったそれの下で、知らない誰かをこの手で殺した。
沢山、沢山、沢山。
沢山殺した。

護る為の戦いは、護りたかったものをどんどん浚っていった。
そんなものなど元々存在していなかったかのようにいとも容易く。
嗚呼、そうだ。
護りたかったものなんて最初からあったのだろうか。
だってあの人は。だから刃を。
零れてしまったの?

汚れた手のひら。
消えない鉄の匂い。
失くなった片目。
居なくなった人々。
消えていく人々。
消えていく自分。
護るものなどない。
自分とて護るものではない。

それでも。
それでも。
世界が、現し世が俺からあの人を奪って行ったから。
(あいつらじゃない)
(あいつら)
(こんな世界消えてしまえ)
(壊れてしまえ)








そして、獣が一匹。
大地に吼えた。










名もない空を見上げる
暗いばかりの空を見上げる









(09/08/28)

ただひたすら壊すだけ。



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