グリーンさんからレッドさんについて聞いた。
ちょっとショックだった。
何故ショックに思ったかというと、シルバーに会えなくなる日がいつか来ると気付いたからだ。
シルバー。ぼくのライバル。
つっけんどんな態度。逃げる背中。とりあえず追いかけて、捕まえて、バトルして、シルバーが怒って、シルバーを慰めて、それから、それから。
でも、それはずっと続く訳じゃない。
小さい頃はシルバーのことを一欠片も知らなかったように、そしてある日突然シルバーと出会ったように。
必ずシルバーとの別れは来て、それには逆らえないのだろうと気付いた。
そう思ったら、おかしなくらい寂しくなった。


何故こうもゾッとしたかというと、ぼくもレッドさんと同じくバトルが大好きだからだ。
今、シロガネ山にいるレッドさんはどうだか分からないが、グリーンさんから聞いたレッドさん像は随分バトルが好きな人のように感じた。
そうなのだ。好きなのだ。
強い野生ポケモンたちの住む、山の深奥で暮らす、それって凄く憧れる。
ちょっと、ちょっとだけ、母さんやシルバーやコトネ、ウツギ博士とかに会えなくなるってことを忘れるくらいには、憧れる。
ただ、レッドさんのことを話してくれたグリーンさんの表情が、あまりにも寂しそうだったから、ぼくもシルバーのことを思い出して、なんだか辛くてよく分かんなくなって、山籠もりはやめた。
なんだかそんなことを考えていたせいか、シルバーに会いたい。今すぐに。
はてさて、あのひとりぼっちはどこにいるのやら。



(あ、シルバー!)
(なんだ、またお前か)
(へへへ)



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