人間って、休憩しないと死んじゃうんだと思う。 どんなに恐い人でも、休憩しないとだめだ。 「な、シルバー」 ぼくは小さな声でそう言った。 数時間前、ぼくはりゅうのあなで壁に寄り掛かって地べたに座っているシルバーを見つけた。 ただ単に座っているだけだと思っていたけれど、話し掛けようとしたところで気付いた。 頬の紅潮。浅い呼吸。苦しそうに寄せた眉。微かに震える閉じた瞼。 額に触れると熱かった。 「…シルバー?」 ぼくがそう言うと、シルバーはうっすらと目を開いたけれど、すぐに閉じてしまった。 これは、やばい。 そう思ってぼくはシルバーをぼくの家まで運んだ。 自分より背の大きい奴を運ぶのは骨が折れた。 手持ちにラプラスがいて助かった。ヤドキングじゃ二人乗っけてなみのりするのは無理だ。 ただ、ヨルノズクは二人も乗っけて飛べなかったから、チャリに二人乗りした。 ゴールドスプレー持ってて良かった。ちょっと危なかったけど。 そんで今はワカバタウンのぼくの家。 母さんは下でお粥を作ってる。 母さんは最初びっくりしてた。そりゃ、いきなり病人連れてきたらびっくりするよね。 取り敢えずソファに座らせて熱を測ったら39度4分。相当やばい。これはやばいよシルバー。 だから今はぼくのベッドで寝かせてる。 母さん、今夜ぼくはソファで寝ろってさ。うん、そうする他無いよねぇ。って、泊まらせる気なのか。まぁでも、こいつの家知らないしね… 「…ぅ」 シルバーが言葉にならない声を出した。 やっぱ苦しいのかな。苦しいよね。 熱も下がったようには見えない。 ただ、シルバーがいつもみたいに文句言わないでこうやって無防備に弱いシルバーを見せているのが、どう考えても普通じゃなくて、不謹慎だけれども、ちょっとどきどき、する。 なんでだろう。 看病してて思ったけど、やっぱりシルバーは美少年だ。ぼくなんかとは違うんだよね。 色は白いし。髪は真っ赤だし。背ぇ高いし。目ぇ吊り目だし。 キレーな顔だよ、本当に。女の子に見えなくも無いくらいには。 ま、喋ると可愛げないけど。 あぁでも、喋ってくれないとつまんないな。 文句ばっか言ってるシルバー、別に嫌いじゃないしさ。 なんか、喋ってないと寂しいや。 はやく、目ぇ覚まさないかな。 それ、恋って 言うんだよ (…ここは、) (…!起きた?) (シルバー、おはよ) back |