「みーつーよーしーくーん!!あっそびーましょーー!!!」

鳳仙の勝手知ったる校門をスキンヘッドの子達に挨拶しながら通り抜け、光義くんがいるであろう教室の扉を開け、私名前はでかい声で愛しの彼氏光義くんの名前を叫んだ。

「なっ!!!!だからおめーは!!!なんですぐ乗り込んで来るんだよ!!!他校の生徒って自覚はねぇのか!!!」

やっぱり居た光義くんは私の登場に驚いた声を出し、その後同じくらいの声量で叫んだ。

「いや、光義よー他校の生徒である前にここが不良高って認識がねぇ方がやばくねぇか」

大変ごもっともな事を言っているのが光義くんの親友真島くんである。

「え?でもここの人達みんな私に優しいよ?挨拶すると元気に返してくれるしお辞儀までしてくれる礼儀正しい人達ばっかだよ?」

不良高って事を忘れるくらい良い人たちだよ。私が通ってる高校の生徒でもここまでしないよ。

「……お前の事だから多分自覚ないんだろうけどよ。知らない間に立場悪用してるんだよなぁ。こういう奴が1番たちわりーんだよ……」

と、真島くんはため息を吐きながらこちらを一瞥した。
失礼だな。

「先生にも会ったけど特に何も言われなかったよ!!挨拶したけど!!」


「はぁ……とにかくよ、今日はどうした。」

光義くんは私と真島くんの絶妙に噛み合ってない会話を聞きながらため息を吐いた。

「一緒に帰ろうと思って迎えにきたよ!」


今日は珍しく部活もなく、いつも一緒に帰宅している部活仲間の友人も予定があり暇になってしまったのだ。だから構ってもらおうと鳳仙に遊びに来たのだけれど。

「まじかお前……」

「あーーーーー……とりあえず光義は名前にここがどういう場所か教えてから一緒に帰れ。もうこの会話2年目だから多分無駄だろうけどやっとけ。いいな?」

光義くんは絶句し、真島くんは呆れ顔でそう言い残すと、荷物をまとめてとっとと帰ってしまった。
私は賢いからなんとなく察しは付いている。これ多分真島くん面倒だから関わりたくないってやつだ。
いや、めっちゃ私に失礼じゃないか???



「……――――だからな、名前。ここは不良高なんだよ、鈴蘭とも他校とも敵対関係にあんだよ。だからおめーみてーなのが迂闊に近寄っちゃいけねぇとこなんだって…ちゃんと聞いてるか?」

「ん?」

光義くんの前の席。つまり真島くんが普段使っている椅子に腰を下ろして、体をひねる形で光義くんへ向き合い話を聞いているわけだが。
“光義くんの真剣に説明する顔かっこいいなぁ、てかこれ私と光義くんが同じ学校に通ってるみたいでなんかいいなぁ”なんて全く関係ないこと考えながら見つめていたのでちゃんと聞いてません。
なんか聞いたことある内容だし大丈夫大丈夫。多分進研ゼミでやった。

「……ぜってー聞いてなかったなお前。」

「そそそそんなことないよ??ただ光義くんがかっこいいなぁって思って」

「おまっ……お前なぁ!!!!」

やべっ怒らせたかも。って焦ったけれど、光義くんの顔面が真っ赤だったのでただ照れてるだけだった。は?私の彼氏可愛すぎるんですけど。

「とにかく!!!次来る時は俺に先に連絡してからにしろ!!来るなって言っても多分お前は来るんだろうからよ!!」

光義くんは私のことを大変よく理解しているようである。
法の抜け穴探そうと思っていたので提案してくれてよかったよほんとー。うっかりジョーさんに直談判しに行くところだった。危ない危ない。

「はーーい!!」

元気よく私が返事をすると、光義くんはもう全てを諦めたような顔をしていた。




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