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「ゼットン朝だよーそろそろ起きて」

朝ご飯の準備が出来たのでゼットンを起こし、ゼットンがリビングへ来るのを待ってから2人でご飯を食べた。

「はいはわらず名前の飯はうめーーな!!!」

「ゼットン食べながら喋らないの」

「ふまん!!」

「もう!!」

ご満悦なゼットンに私もほっこりしながらご飯を食べ終わり、ゆるゆると支度を始めた。
昨日私がアイロンをかけたシャツを着たゼットンが、歯磨きを終えてリビングへ戻ってきたタイミングで呼び止めると”どうした?”と、子犬のように近寄ってきた。
なんだ可愛いな。

「はいしゃがんで顎あげて」

「お?おお」

不思議そうな顔をしながら言われるまま言う通りにしてくるゼットンに愛しさを感じながら、ネクタイを巻いてあげた。


初めはかなりうろたえていたゼットンだったけれど”……なんかいいな、こういうの”と、照れながらポツリと呟いた。

「新婚さんだもんね〜!!!」

「照れるからやめてくれ!!」

おちゃらけながらネクタイを締め終わり、最後に上着を渡すと、ビシッと鏡の前で整えた後改めて私の前に立った。
あーやっぱりかっこいいなぁ。

「じゃあ、言ってくる。」

「ゼット……いってらっしゃい、三郎さん」

私の三郎さん呼びに目を見開いて驚いた後、すぐ笑顔になり”おう!!”と、元気よく返事して、職場へ向かうべく玄関から出て行った。

“さて、と。私もそろそろ行くかなぁ”と、ひと伸びし、家の鍵を手に取った。
鍵には三郎さんとお揃いの”ゼットン”キーホルダーが揺れていた。


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