08

流石にそろそろしんどい。


ポジティブを売りにしている私でもここまでになってくるともうメンタルに限界がきていた。インターンへは何個か行ったのだけれど、大半のところは雑務ばかりでほとんど教えてもらえず勉強会は毎日遅くまで。他の職員が休みの日に出勤して店の掃除。ちょっといいなぁと思っていたところでは店長からセクハラをされた。”社会人なんてみんなそうだよ甘えだ”と言われてしまえばそれまでだけれど、卒業するまでの間ですら耐えられるかわかったもんじゃないのにそこへ就職なんて無理な話だった。


ふらふらと薄暗くなった道を行くあてもなく歩いていると、知らない間にゼットンと初めて会ったあの公園へと向かっていた。

公園へ着き、あの時のゼットンのように椅子に座って項垂れていると頭の上から声をかけられた。

「おい、大丈夫か?」

顔を上げると、ゼットンがコンビニの袋を持った状態で心配そうな顔をしながら目の前に立っていた。

「え、ゼットン……??なんで?」

「あー……、コンビニから帰ろうと思ったらお前の姿が見えたからよ。なんか様子がおかしかったし……」

心配して様子を見に来てくれたようである。ゼットンの優しさに思わず涙が出た。

「!!……おい!!名前!!泣くなって??!何かあったのか?!?」

一度出てしまった涙を皮切りに、堰を切ったように涙がとめどなく流れてしまった。それを自分で止める事はできなくて、でもこのままゼットンに見られるのもなんだか恥ずかしい気がして、思わずゼットンに抱きついてしまった。

「ふぇっ……ごめ、……ごめん」

「は?!?ちょっ……?!!!!」

はじめは驚いて体を硬直させていたゼットンだったけれど、落ち着くために自分の頭をガシガシ掻いた後、私の背中をあやすようにゆっくりさすってくれた。


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