▼05


五月も半ばに差し掛かったころ、世間一般では中間テストが行われようとしていた。

「カイトーーーっ!!、テスト週間になったね、ってわけで遊びに行こうよ!!」
「却下だ!!」
「なんで!?」
「砕牙先輩、テストシューカンだからですよー。」
「部活ないんでしょ?放課後暇じゃん!!」
「藤井さん、テスト週間に部活動がないのは、その空いた時間で勉強ができるようにという先生方の配慮ですよ?」
「センセーの配慮か陰謀かは知らないですけど、世間一般ではそういうことになってるので出歩かない方が身のためだと思います。」
「下手したら日中でも補導されっぞー。」
「この真面目集団めええぇぇぇぇええぇ!!」

テスト週間に入り、部活のない今の時期は砕牙にとっては皆がかまってくれる機会が増えるという喜ぶべき時期であるはずなのだが、海斗を筆頭に椎名、伊月も真面目な部類に入るので必然的にいつもと変わらない展開になるのであった。

「ねーねー。勉強なんてしなくても点なんて取れるんだから遊びに行こうよー。」
「黙れ学年一位。必死に勉強してる俺らをなめてんのか。」
「……カイトは舐めたら甘そうだよね…。」
「…おい、変な目で見るな如月姉妹。そして近づくな変態。」
ジッと海斗を見つめて涎をたらしそうな勢いで少しずつ詰め寄る砕牙。海斗はもちろん後退りをしている。
「ああっ!!これやるから離れろ!!」
そう言って海斗はカバンから飴を取り出して砕牙に押し付けた。
「おっ!?チェッパチョップのバナナミルク!!…カイト中二臭いね。」
「……いらねぇなら返せ。」
「いるいる、いりまーす!!」
手を伸ばしてきた海斗から飴を庇うように背を向ける。
「…ちっ。」
「舌打ち禁止―っ!!」
「あ、藤井さん。遊ぶことはできませんが、一緒にお勉強するというのはどうでしょう?」

椎名の突然の提案に、砕牙は目を輝かせた。
「いく!!一緒にベンキョーする!!」
「如月!!こいつがいたら絶対勉強にならねぇよ!!」
「そーですよ!!砕牙先輩はうるさいのが仕事なんですから!!」
「……いっちゃんひどい。」
落ち込んでしゃがみこんだ砕牙をよそに、海斗と伊月に詰め寄られた椎名は、ふわりと微笑んだ。
「そんなことないですよ。藤井さん、意外と教えるの上手いんですから。」
そう椎名が言うと、海斗と伊月はぎょっと目を見開いた。

「え、如月……まさか…、」
「砕牙先輩に勉強を教えてもらったことが…?」
信じられない、否、信じたくないと言いたげな二人に椎名はさも当然のようにyesと答えた。

「二人ともシツレーだよねっ!!こう見えても砕牙さんは学年一位なんだもん。」
ぶーぶーと可愛く唇を突き出して見せているのだが……可愛くないわけではないが、なんだか苛立つ。
「………だって砕牙だし、なぁ?」
海斗が隣の伊月に同意を求めるとねぇ?と返ってきたので、ほらと砕牙に反論した。

「むむむむむ…。じゃあオレが直々にベンキョー教えてあげるよ!!」
どうだ!!とでも言いたげに反り返る砕牙に、海斗と伊月は溜息を吐いた。
「やっぱりそうなりますかー。」
「結局、お前が一緒にいたいだけだろ。」
「イエス、ザッツライトオォ!!」
「……では、図書館に行きましょうか。」



そして4人は図書館で勉強することにしたのであった。



「あ、コンビニ寄って行こうよ!!」
「何か買うものでもあるんですか?」
「お菓子とジュース!!」
「……館内は飲食禁止だ馬鹿。」
「マージでか!?」
「……勉強できるとしても砕牙先輩はバカですね。」

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110529






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