▼04 (2/2) リリンリン 「いらっしゃいませー。」 「いらっしゃいましたー!!」 「げ」 扉を開けて勢いよく手を上げれば、正面にいた白髪の店員が嫌そうな顔をした。 「白さ〜ん、お仕事お疲れ様!!」 白と呼ばれたのはこのC.Worldの店員である平川白(ヒラカワハク)。男世帯で育ってきたからなのか、女性に免疫がなく話すときはいつも明後日の方を向いてしまう。しかし料理の腕は天下一品で、和洋中からデザートまで何でも作れてしまう料理人志望の青年である。 砕牙とは親同士が知り合いなので幼い頃から面識があり、仲も良好だ。 「お前、お疲れ様とかいうなら俺の仕事増やすなよ。」 「へへへ〜、ムリ。」 「即答かよっ!!」 「だって白さんの作るケーキ美味しいんだもん♪」 というわけでケーキセット2つで、カフェラッテとキャラメルマキアートよろしく。そう席につきながら注文をすれば、白ははにかみながらリョーカイ。と返して厨房に消えた。 「おや、いらっしゃい海斗君。……それと藤井君も。」 「マスター、ちわっす。」 「マスター!!オレをおまけみたいに言わないでよー!!」 「ふふ、是非とも受け取りを全力で拒否したいおまけですね。」 厨房から白と入れ替わるように出てきたのは、この喫茶店のマスターであるレイルさん。金髪のセミロングを一本結びにしていて、長い前髪が片目を覆っている。年齢もフルネームも謎に包まれていて、なかなかに食えない人である。解っていることは、コーヒーが好きで読書家ということと、人をからかうのが好きなドSであるということ。 「いやぁ、それほどでも〜。」 「砕牙、褒められてねぇ。むしろ貶されてるから。」 「なんだってーっ!?」 「藤井君は可燃ゴミですかねー、粗大ゴミですかねー。」 「マスター、オレはナマモノです!!」 「リサイクルは出来なさそう、というよりしたくないですからやはり可燃ゴミですかね。」 「マスター今日はいつにも増して辛辣だね!!」 「僕は藤井君が来なければもっと温厚で優しい人間ですよ。」 「……マスター、その辺にしとけ。」 「おや、シロさん。」 「は・く、だっ!!」 トレーを持っていない方の手でレイルを指さす白。 「あ、白さーん。オレキャラメルマキアート!!」 白の持っていたトレーに置かれたものに砕牙がいち早く気付いて、早くよこせと催促する。 「ったく。えー、お待たせしました。キャラメルマキアート…と、カフェラッテです。ケーキはもうしばらくお待ちくださいっと。」 軽くお辞儀をした後、空になったトレーで砕牙とレイルの頭を小突いた。 「ッた―!!何すんのさ!!」 「……なぜ僕まで…。」 「砕牙は騒ぎすぎ、マスターは砕牙を煽りすぎ。」 腰に手を当てて、さも当たり前だというようにため息を吐いた後、白は海斗の方を見た。 「……海斗、お前も止めに入れよ。」 「あー…いつものことすぎて。つい傍観してたっす。」 「……お前も苦労するな。」 「白さんほどじゃないすケド。」 自他ともに認める苦労人たちは再び吐いたため息をハモらせた。 「マスターのせいで白さんに怒られたじゃん!!」 「藤井君が騒ぐからいけないんですよ。」 「だってそれはマスターが!!」 「「うるさい黙れ。」」 「「すみませんでした。」」 =================== マスターは砕牙が嫌いなんじゃなくて、なんか気に食わないだけなんだよとか言ってみる← 110524 |