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リリンリン


「いらっしゃいませー。」
「いらっしゃいましたー!!」
「げ」

扉を開けて勢いよく手を上げれば、正面にいた白髪の店員が嫌そうな顔をした。
「白さ〜ん、お仕事お疲れ様!!」
白と呼ばれたのはこのC.Worldの店員である平川白(ヒラカワハク)。男世帯で育ってきたからなのか、女性に免疫がなく話すときはいつも明後日の方を向いてしまう。しかし料理の腕は天下一品で、和洋中からデザートまで何でも作れてしまう料理人志望の青年である。
砕牙とは親同士が知り合いなので幼い頃から面識があり、仲も良好だ。

「お前、お疲れ様とかいうなら俺の仕事増やすなよ。」
「へへへ〜、ムリ。」
「即答かよっ!!」
「だって白さんの作るケーキ美味しいんだもん♪」
というわけでケーキセット2つで、カフェラッテとキャラメルマキアートよろしく。そう席につきながら注文をすれば、白ははにかみながらリョーカイ。と返して厨房に消えた。

「おや、いらっしゃい海斗君。……それと藤井君も。」
「マスター、ちわっす。」
「マスター!!オレをおまけみたいに言わないでよー!!」
「ふふ、是非とも受け取りを全力で拒否したいおまけですね。」

厨房から白と入れ替わるように出てきたのは、この喫茶店のマスターであるレイルさん。金髪のセミロングを一本結びにしていて、長い前髪が片目を覆っている。年齢もフルネームも謎に包まれていて、なかなかに食えない人である。解っていることは、コーヒーが好きで読書家ということと、人をからかうのが好きなドSであるということ。
「いやぁ、それほどでも〜。」
「砕牙、褒められてねぇ。むしろ貶されてるから。」
「なんだってーっ!?」
「藤井君は可燃ゴミですかねー、粗大ゴミですかねー。」
「マスター、オレはナマモノです!!」
「リサイクルは出来なさそう、というよりしたくないですからやはり可燃ゴミですかね。」
「マスター今日はいつにも増して辛辣だね!!」
「僕は藤井君が来なければもっと温厚で優しい人間ですよ。」
「……マスター、その辺にしとけ。」
「おや、シロさん。」
「は・く、だっ!!」
トレーを持っていない方の手でレイルを指さす白。
「あ、白さーん。オレキャラメルマキアート!!」
白の持っていたトレーに置かれたものに砕牙がいち早く気付いて、早くよこせと催促する。
「ったく。えー、お待たせしました。キャラメルマキアート…と、カフェラッテです。ケーキはもうしばらくお待ちくださいっと。」
軽くお辞儀をした後、空になったトレーで砕牙とレイルの頭を小突いた。
「ッた―!!何すんのさ!!」
「……なぜ僕まで…。」
「砕牙は騒ぎすぎ、マスターは砕牙を煽りすぎ。」
腰に手を当てて、さも当たり前だというようにため息を吐いた後、白は海斗の方を見た。
「……海斗、お前も止めに入れよ。」
「あー…いつものことすぎて。つい傍観してたっす。」
「……お前も苦労するな。」
「白さんほどじゃないすケド。」
自他ともに認める苦労人たちは再び吐いたため息をハモらせた。



「マスターのせいで白さんに怒られたじゃん!!」
「藤井君が騒ぐからいけないんですよ。」
「だってそれはマスターが!!」
「「うるさい黙れ。」」
「「すみませんでした。」」

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マスターは砕牙が嫌いなんじゃなくて、なんか気に食わないだけなんだよとか言ってみる←

110524





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