一度家に帰り、荷物を病院に持っていった。その足で秘密基地に向かう。
 どうやら神社の前のことは鶴見の頼みだったらしい。そして今夜もう一度秘密基地で久川と松雪の見ためんまを探すのだと言っていた。一体鶴見は何を考えてるんだろう。


「あなたたちまで来る必要なかったのに」


 少し呆れたようにわたしと安城を見る。


「“みんな”で秘密基地に集まるって宿海は言ってたんだから居たっていいでしょ」


 隣で言葉を探してた安城よりも先に答える。
 虫よけスプレー使ってるけどその露出じゃあんまり意味ないんじゃないかな。「これ使う?」とわたし達にもすすめてくれたけどわたしも鶴見もそんなに露出してない。
 久川が帰ってきて基地の中に入る。鶴見がなにか持ってると思ってたらコーヒーメーカーとマグカップでそれを使ってみんなでコーヒーを飲む。
 ペンギンのこのカップかわいいな。
 顔をあげると宿海が目に入った。やっぱりあいつの視線は何もない場所に意味ありげに向けられている。


「そうだ。これ、めんまにも飲ませてやろう」


  久川の言葉にみんなきょとんとする。いろんな所にカップを向けてあの子を呼ぶ。


「バーベキューの後、色々考えたんだけどさ、めんま言ってたんだろ? みんなが集まってくれたら嬉しいって」


 なにそれ。わたしが帰った後にどんな展開があったの?


「な〜んかさ、それ、めんますげぇ言いそうだなって。あだなも似たようなこと言ってたし、おれ超合点いったんだよ」


 いつもみたいににかっと笑って「忘れられるはずないのにな」と明るく言った。立ちションだと飛び出した久川に驚いたような複雑そうな顔を宿海は向けていた。


「めんまを忘れられなくて、いつまでもめんまに捕らわれて情けないな」


 淡々と鶴見が言う。


「ゆきあつの言ってたあれ、全部自分のことよ」


 口を開き掛けてやめた。
 確かに自分のことかもしれない。でも、それはわたし達全員にあてはまることだよ。


「うおおおおおっ」


 太い叫び声と共に久川が秘密基地に戻ってきた。あまりにも慌ててたけど鶴見が指摘したようにチャックが全開でそっちの方が気になった。


「居た! 居たんだよ、めんまだっ」


 その言葉に慌てて秘密基地を飛び出した。暗い山道を懐中電灯の光だけを頼りに走る。
 この辺りと言われ、回りを見渡すけど暗くてよく見えない。めんまは昔と同じように胸にリボンのついた白いワンピースを着てるらしい。


「あっ」


 小さく声をあげた宿海。
 懐中電灯を向ければ人影が見えた。長い髪と白いワンピースの裾を揺らして走っている。
 気付いたのと同時にわたしは駆け出した。


「……違う。あれはめんまじゃない!」




おいかけっこ
(一体どういうこと?)










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