手ちっちゃいし、やわらかい。普段がきれい系な分、子供の姿のこの可愛らしさはギャップ萌えってやつか。お持ち帰りしたいです、本気で。


「気持ち悪い」

「痛い!」

「なまえちゃん、大丈夫?」


 桃ちゃんと手を繋ぎ、顔の筋肉がゆるみにゆるんでるところに大魔王様からの一撃。
 バスケットボールって固いんだよ? まじで顔面の凹凸なくなるどころか陥没しそうだからやめてっ。


「居たのは桃井だけか」


 謝罪も労いの言葉もないのかよ。流石大魔王様。良心なんてお持ちでないんですね。


「うん。でも、桃ちゃんだけでおなかいっぱいだよ。他とかもういいかも」

「じゃあ、他を探すぞ」


 無視された。どうせ私の意思なんて関係ないんだ。
 取り合えず全力で桃ちゃんの写真を撮っておいた。これは売らない。男共になんて売ってやるものか! アルバムに永久保存だよ。


「桃ちゃんの為に頑張って黒子くん探すね。見つかったらツーショット撮らせて」

「て、テツ君とツーショット!?」


 顔を真っ赤にさせて照れる姿も可愛い。もうなにしても可愛い。可愛いって言葉は桃ちゃんの為にあるのだよ。


「みょうじ、騒ぎになる前にさっさと探しに行ってくれないか?」

「ちっ」


 舌打ちしたらピンポイントに足の小指踏まれた。
 痛みに耐えながら目立つからと天使と大魔王様を我が同好会の部室に案内する。二人にするのはいやだけど連れ歩く訳にもいかないから仕方ない。


「残りのちびっこ探してきます」

「待ってる間、どうしたら戻るか考えとくね!」

「どうせ全員揃ったら戻るさ。ご都合主義なんだから」


 またも夢のない発言を聞いてしまった。しかも、桃ちゃんと別れを惜しむ間もなく大魔王様に追い出された。


「探すって言ってもどこ居んのさ」


 まとめて出てきてくれないだろうか。そしたら一気にミッションクリアなのに。
 心当たりもなく歩いてるとちみっこい緑が見えた。


「真ちゃん!」

「なっ」


 ぎゅーっと後ろから抱きつけばびくりと小さな体が跳ねた。


「なにするのだよ!」

「やだ、可愛い! おは朝占い万歳! 今日のラッキーアイテムがテディベアとかグッジョブ!」

「離せ、みょうじ!」


 短い手足をばたつかせて私から逃げようとする真ちゃん。
 ふはは、子供の力には負けないのだよ。


「あだっ」


 テディベアが顔面に直撃した。ちょっと今日みなさん顔面狙いすぎじゃありませんか?


「照れなくてもいいのに」

「照れてないのだよ」


 解放してあげればむすっとした顔をされた。すかさず写真撮ったけどね。


「全くこんな姿になるし、ラッキーアイテムがなかったらどうなってたか……」

「もっと悲惨なことになっただろうね。私もラッキーアイテムのお陰かなんとか生き延びてるよ」


 本日の私のラッキーアイテムであるビーズのストラップを見せる。これがなかったら今頃大魔王様の手に掛かってるんじゃなかろうか。
 真ちゃんとは中一からのおは朝占い仲間だ。親友と呼んでもいいと思ってる。


「蟹座三位だったし大丈夫だよ」

「そうだな。お前は十一位だったが運気を補正してるから死にはしないだろう」


 真ちゃん、あんまり慰めになってないよ。気持ちだけ受け取っておこう。


「真ちゃん、真ちゃん」

「なんなのだよ」

「おしるこ奢ってあげるから部室まで抱っこさせて!」


 許可を得る前に真ちゃんを抱き上げる。顔を真っ赤にして文句を言ってくるけど聞こえないふり。
 ラッキーアイテムで運気の補正してるんだからこれくらいいいことがあっても許されるでしょ。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -