目を覚ますと白い天井が目に入った。窓からはあたたかな日差しが入ってきている。ゆっくりと体を起こして辺りを見渡す。
 何処かの病院の個室かな。
 上手く気絶出来てよかった。流石に気絶したふりだったらバレちゃいそうだったから。あとはこれからどうするか考えないと……。
 予想以上に面白かった小動物くん。もう少し観察してみたい。特殊弾とかマフィアが作っているものも興味ある。

 ──コンコン

 控え目なノックの音。返事も待たずに扉が開く。


「あ、起きてたんですね。その……大丈夫ですか?」


 恐る恐る聞いてくる。気絶する前にした拒絶が結構効いてるみたいだ。


「……貴方が病院に連れてきてくれたんですか?」


 慎重に言葉を選ぶ。
 あそこまで拒絶したのだから多少の警戒心を含めた感じで話していけばいいだろう。


「オレがっていうかなんていうか……」

「有難う御座います。私、貴方に酷いこと言ったのに」

「そんな! 気にしてないですからっ」

「混乱していたとはいえ本当にごめんなさい」

「おまえ、ずっとあそこに居たのか?」


 小動物くんの横からあの赤ん坊が出てきた。しかも、その更に後ろには黒曜センターで見た二人の少年達も居る。


「はい。あそこで写真を撮っていたら変な中学生に絡まれてそれで……」


 捕まっていたんですと嘘を並べていく。小動物くんは大変だったんですねと同情してくれてるけど赤ん坊の方はあまり納得していないみたいだ。


「十代目、この女は?」

「えっと、骸達に捕まってたみたいでオレ達のことを見てたらしいんだ。それで突然倒れちゃって」

 銀髪少年の疑問にたどたどしくも懸命に答えている。


「貴方達二人もあそこにいましたよね。助けてもらったのにこんなこと言うのも難なんですが何者なんですか?」

「それは、その……」

「自主映画の撮影してたんだよ! な、ツナ!」


 マフィアとは言いたくないのか口ごもってしまった少年に爽やかスポーツ少年のような子が助け船を出した。それに小動物くんは大きく頷いているけど嘘って顔に書いてある。正直な子だ。


「文化祭で上映する予定の映画で……だから、全部演技だったんですよ」

「そうだったんですか。私ったら勘違いして騒いじゃって……なんて謝ったらいいか」


 恥ずかしがっているように視線を真っ白いシーツに落とす。赤ん坊からの視線が痛くて困る。怪しまれる行動は取っていないはずなのに。


「何者だ、おまえ」


 思わぬ言葉に顔を上げる。私だけじゃなく小動物くん達も驚いた顔をしていた。


「どういう意味ですか?」

「そのままの意味だ」

「リボーン、なに失礼なこと言ってんだよ!」


 慌てて小動物くんが赤ん坊の口を押さえようとしたが、軽く手首を捻られていた。
 やっぱりこの赤ん坊タダ者じゃない。そういえば六道くんはアルコバレーノとか呼んでいた気がする。


「この二人にもあの場所に居たって言ったよな」


 赤ん坊は銀髪くんと爽やか君を指してそう言った。


「確かに言いましたけど……」

「おまえが居た場所に山本は来てないぞ」


 思わず言葉を失った。
 そういえばそうだった。あの爽やかくんは六道くんの居た廃墟には来てない。彼はランチアが居た処で見たんだ。


「なのにどうしておまえは山本にまでそう言ったんだ?」


 誤魔化そうと思えばいくらでも出来るけど、何を言ってもこの子は納得しないんだろうな。最初っから私に疑惑の目しか向けていなかったもの。一体何が悪かったんだか。


「口は災いの元とはよく言ったものですね。そんなミスするなんて戯言遣いに呆れられてしまいます」


 自分の失態に肩を竦めてみせる。


「いつから疑ってたんです? 結構上手くやってたつもりだったんですけど」

「最初からだ。骸が誰かを人質にしてたならそれを使わない手はないだろうし、出てくるまでお前は気配を消しすぎてた」


 警戒が裏目に出たってことか。それにしても人の気配が解るなんてやっぱりこの赤ん坊普通じゃない。


「まさか十代目を狙うヒットマンか?!」

「そりゃ穏やかじゃねーな」


 ダイナマイトに刀。それぞれの武器を向けられる。
 最近の子は手が早くて困る。もう少し人の話は聞くべきじゃないだろうか。


「そんなもの向けないで下さいよ。私、丸腰なんですから」


 両手をあげて何も持ってないことを主張するが、銀髪くんは「油断ならねぇ」とダイナマイトを仕舞ってくれる様子はない。こんな処でそんなものを使ったら騒ぎになると考えたのか小動物くんが宥めている。




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