「白状ならしたじゃないですか」


 元サイバーテロリストであると既に告白しているのだから決して嘘ではない。ただし私は戯言遣い程嘘吐きでもなければ、女王程正直でもない。


「パソコンをいじるのにあんなことできる身体能力は必要ないだろ」

「なんのことです?」

「雲雀とやりあってたじゃねーか」


 見ていたのか。ならば助けて欲しかった。お陰で少しではあるが痛い思いをしたのだから。


「骸の時だってそうだ。あそこまで気配を消すスキルを普通の奴が持っているはずがない」


 ここに来てから私は失態続きだ。いや、でも六道くんの時にはこんなことになる予定はなかったから仕方無い。


「特技のひとつやふたつ、誰だって持ってるものですよ。ですが、そうですね」


 例えば私が《城》の一員だったという以外の過去を持っていたとして、それをあなたに話す必要がありますか?
 にこやかに問い掛ける。


「おまえ、性格悪いな」

「それほどでも」


 信用を得る為には必要なことだろう。でも、マフィアに入る気のない私は別に信用を得ようなんて思っていない。


「なおさら欲しくなったけどな」

「強引ですね」

「手がない訳じゃねーからな」

「怖いこと言いますね」


 何処まで私のことを調べているのか。ただのプログラマーでしかないから調べたところで何も出てこないのがオチだろう。暴力の世界との繋がりなんて人識くんくらいしか浮かばないし。そういえば彼は元気にしているだろうか。


「オレに見初められた時点で拒否権なんてねーんだぞ」


 そう言い残してリボーンくんは部屋から出ていった。
 綱吉くん達の前でなければ口を割ると考えたのかな。でも、残念ながら“私”には蒼と共に居たという過去以外何もなんてない。《名無(ネームレス)》であることが全てを物語る。伏線でもなんでもなくそれが答え。難しく考えることなんて何もないのに目の前の回答に疑問を抱くなんて、裏を読もうとして結局動けなくなる馬鹿な策士のようなものだ。もっと単純に考えればいいのに。



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