天使の守り人
「サイラス〜出してくれたって良いだろ?」
「そんな事したら逃げ出す事間違いないだろ?」
また例の如く、逃げ出そうとした怠慢皇帝――もといピオニーをとっちめ、仕事をさせようとするサイラスに、ものの5分も経たずにそう尋ねるピオニー。
「う・・・。」
「ピオへーか!」
「ごめんなさい・・・。お仕事中なのに」
そんな呆れた口調のサイラスの言葉にたじろいで眉をひそめていると、レインと、やや遅れてセレナがピオニーを閉じ込めた部屋に入ってくる。
緑の長い髪に空の様な澄んだ瞳の彼女―セレナは、サイラスとジェイドに頼まれレインの面倒を見ていた。
彼女はあの旅の中を通じて、ジェイドそしてピオニーとも知り合いである。
ちなみにジェイドがいない為、ピオニーの見張りはサイラスがしている。
「いーや、大いに結構だ!綺麗な子なら尚更だ!セレナ〜俺を癒してくれ〜。」
「・・・あはは、大丈夫ですか、陛下?」
そう言ってセレナに抱きつく。ピオニーのその姿に、苦笑いをしながらもセレナは後退りする事なく受けとめる。
「あ!ピオへーかだけずるい〜!」
そう言ってレインもセレナの腰に抱き付く。
「相変わらず大人気だな?」
「・・・陛下、お仕事は良いんですか?」
サイラスがそうにやにやとしながら言うと、セレナが苦笑いしながらピオニーに尋ねる。
「陛下〜早くセレナを離さないと、取り返しのつかない事になりますよ?」
「サイラス〜もうちょっと良いだろ〜?」
「・・・あ〜あ・・・俺、知らないっと。」
うんざりした様にサイラスがそう尋ねると、終始にやにやとした顔でセレナに抱き付いたままの態勢でピオニーがそう声を上げる。
その言葉を聞き、やれやれと肩をすくめた後、ため息をつくサイラス。
「ちょっと待て・・・!悪かった!悪かったから・・・・それだけは下ろしてくれないか?」
いつの間にか、ピオニーの背後――首筋ギリギリに両刃の剣を突き付ける鳶色の髪の存在――クラトス。
ピオニーは、顔を真っ青にしながら、首だけで慎重に伺いながら、パッとセレナから腕を離す。
本来なら、不敬罪云々と言われるのだが、彼もまた二人の知り合いでもある為、ピオニーも承知している。
「分かれば良い。・・・セレナ、大丈夫か?」
「・・・うん、平気。ありがと。」
ピオニーの腕が離れたのを確認すると、一息をつき、剣を納める。
先程の鷹の様に鋭かった、鳶色の眼差しを和らげながら彼女にそう尋ね、セレナもそう微笑みながら答える。
先程ピオニーに見せた様な苦笑いではなく、何処か恥じらう様な、それでいて安堵の笑みを浮かべる。
「レイン、セレナおねえちゃんみたいなお母さんが欲しいなぁ・・・。」
「そっかそっか・・・レイン、大丈夫だ。このふたりがいずれ・・・」
レインがセレナを見上げながらそう言うと、サイラスがしめしめと言わんばかりに声を上げる。
「・・・ッ、サイラスさん!」
「・・・え?」
サイラスのそれを察知したセレナが滅多に上げない様な、慌てた声。そして、朱の差した顔。
そして、呆けた様な虚を突かれたようなピオニーの顔。
「哀れだな・・・」
そうぽつりとサイラスが呟く。
―天使の守り人―
(美しき天使には、守り人がついていた。)
何かと趣味が同じな私のお婿さん、クリアさんより相互お礼の文章を頂いてきましたー←←
クリアさんの得は私の得でもある、と勝手に私の持論を押し付けて美味しいCPを見させてもらいましたうへへ。
とりあえずセレナちゃんが可愛い。ピオニーに嫉妬するお父さんも可愛いよ何これキャッホイな状態ですわ(笑)
レインもサイラスも当社比200%くらい可愛く(恰好良く)書かれていてやっぱり私得でした。キャッホイ。
むしろ私で良ければ話し相手にでも何にでもしてくださいって感じです。
では、この度は素敵な文章ありがとうございました!
これから末永くよろしくお願いします。
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