恋愛疾患





13時丁度。
もう昼だというのに、日差しはすでに強い。

自分の部下であるマルクト軍人は、だらし無く立っていた。



そんな部下達を注意すれば、暑苦しそうな鎧を被った兵はビシリと敬礼をする。

何事かもなかったかのように体の向きを変えれば、いきつけの喫茶店へと足を運ばせた。






カラン

綺麗な音が鳴り響き、珈琲の香が漂う。


とある女性が座る、隣の席に座り注文を取った。





「珈琲を一つ」

「かしこまりました」





相手は自分の顔を知らない。
毎回小説を読んでるせいで、目が合うこともない。


でも、私は彼女を愛している。




家に帰る時、途中まで見送りをした。
色んな店で隣同士になったことだってある。


手紙も送ったが、彼女は恥ずかしがってるのか、中々返しはしてくれない。




でも私は彼女の近くにいれるなら、それだけで幸せだ。






カラン



自分が入ったときと同じ音が鳴り響く。
けど私は彼女の横顔を見つめることしかできなかった。



スッと長身の男が彼女の目の前に座る。




「待たせてゴメン」

『大丈夫、さっき来たばかりだから』





親しそうに話し出す男。
誰なのかわからない。




「自分以外の男に、笑顔を向けるなんて…」





彼女の笑顔を初めて見た気がした。
そんな姿を見て、自分の中の何かが弾け出る。


どろどろと流れるそれ。





「じゃぁ行こうか」

『うん』




彼女と男は手を繋ぎ、店から出た。


逃がさない。
私の彼女を、あんな男に渡さない。

私のものだ。



必要じゃないものは




イ ラ ナ イ で しょ う ?

















それから次の日。
一週間。
一ヶ月。

そろそろ涼しい季節に入る頃になる。



彼女はもう喫茶店にはいない。


あの男を消した次の日から。





遮るものはもうないのに、振り向いてはくれない。


毎日毎日手紙を何通も送り"愛してる"を囁く。

そろそろネタばらしをしても、面白い。






「これでリオは私のモノです」








END

空ノ鏡様より頂きました!
ジェイド狂愛夢をリクエストしたところこんな素敵な文章を書いて下さいました。ストーカーもヤンデレも大好きです^^
この度は相互及び御礼文ありがとうございました!



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